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軽井沢新聞 スペシャル
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Kaleidoscope 軽井沢が見える万華鏡 No.11

Kaleidoscope

 標高1000mの高原の町・軽井沢では、ほんの一瞬のうちに霧がまいてきます。夏だけではなく季節を問わず春も秋も冬も、時間を問わず朝も夜も昼もふいに現われ、その流れる速さには驚かされます。「洗濯物が乾かない」「湿気がひどい」「車の運転が危ない」などの理由から地元の人には好まれない霧ですが、訪れる人にとってはロマンチックで魅力的。多くの作家や画家たちによって霧の風景が幻想的に描写されています。特に推理小説では「別荘」「林の中」「霧」というミステリアスな要素があるため、軽井沢がその舞台に使われることも多いようです。

 軽井沢でよく見られるのは碓氷峠から流れてくる霧。峠を越える気流の断熱膨張によって空気の温度が下がり、峠の中腹あたりで発生する霧は、旧軽井沢・新軽井沢から中軽井沢へと流れて行きます。また、地表面が放射によって冷え、それに接した空気の温度が下がり、水蒸気を含みきれなくなって小さな水滴となることがあります。これは信濃追分あたりに発生することの多い霧です。霧があるからこそ維持できる美しい苔庭。冷却した霧の粒がまとわりついて煌めく霧氷。霧は様々な高原の美しい表情を見せてくれます。

 暮らしてみるとこうした軽井沢ならではの自然の美しさが見えてきますが、生活の中でもこの地ならではの不思議なことに出会います。そしてそれが、意外な発見につながったりもします。

 例えば、軽井沢ではどの店も「11時には閉店」。これはなぜとよく訊かれます。「とっても不便。コンビニも11時迄だなんて」とコンビニは深夜営業が普通だと思っている旅行者や移り住んできたばかりの人にとっては?マークなのでしょう。そういう人に私は「軽井沢は宣教師が拓いた町だから、健康的なリゾートにするために、深夜営業や風俗営業は禁止しているんです」と言います。すると、それまで憤慨していた人も「なるほど。さすが軽井沢ね」と、ここが特別な町であることに納得します。

 明治・大正の時代に、宣教師はじめ軽井沢を築いてきた先人たちの精神が、今の時代にまで引き継がれているって、考えてみればスゴイことです。歴史や伝統を尊重し、不便だからといって簡単に変えないことも素晴らしい。

(広川小夜子 軽井沢新聞編集長)

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