Kaleidoscope

軽井沢が見える万華鏡 №15

 カッコウの鳴く爽やかな季節になりました。7月に入っても庭の山桜の梢にウグイスがやって来て、すばらしい歌声を聞かせてくれます。我が家の山桜は樹齢35年の大木で、満開になると、その美しさに道行く人が目を見張るほど。もしかしたら、ご近所からは「鬱蒼としている」「落葉が迷惑」と思われているかもしれませんが、切るつもりは毛頭なく、勝手に「桜の名所」と呼んでいます。この大木1本あるだけで四季折々の風情を感じられ、野鳥たちがやってくるから木に虫も付かないし、美声も聞ける。山桜の木はお薦めです。

 大木があっても陽あたりのよい我が家。いよいよ太陽光発電システムを取り入れることにしました。設置したいと思いつつもなかなか踏み切ることができなかったのですが、今回の「大飯原発再稼働」への政府の姿勢、東電の事故報告書や株主総会などの報道を見ているうち呆れかえり、「自分でできることはやらなければ」という義務感のようなものを感じたのです。

 軽井沢の電力は中部電力。中電の浜岡原発は直下に活断層があり、その危険性はよく知られていますが、現在、再稼働に向けて高さ18mの防波壁を建設中。工事費用約1000億円は電気料金に上乗せされます。「総括原価方式」では電力会社のやりたい放題。こうした仕組みを知った私たちは、もうそれを許すことができません。「政治には頼れない。自分でできることをやろう」という一般市民の行動がこれからも広がっていくことでしょう。

 しかし、太陽光発電の光のためにと庭の木々を切ってしまっては本末転倒。樹木がたくさんがあるからこそ涼しく心地よく過ごせ、軽井沢としての価値があるのですから、その魅力を壊してまでやることではありません。我が家も桜の木がさらに大きくなり、屋根を覆うようになったら、太陽光発電はできなくなるでしょう。そのときは、別の方法を考えます。

 例えば、地中熱。星野リゾートは地中熱利用でエネルギーを生み出し成功しています。「地中熱利用はヨーロッパでは発達している技術。火山や温泉があり地下水も豊富な日本に向いている」と星野リゾート・エネルギーシステムの担当者は話しています。「地中熱利用促進協会」というのもあって、地中熱利用の研究は進んでいるようです。樹木の多い軽井沢だからこそ、今後は地中熱利用の方法を積極的に考えてみるのもいいかもしれませんね。

(広川小夜子 軽井沢新聞編集長)

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