初開催の旧スイス公使館見学会、400人来場

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 軽井沢町と筑波大学は8月22日、戦時中にスイス公使館として使われた旧軽井沢の「深山荘」の見学会を開いた。町が2007年に取得してから初めての開催。約400人が来場し、用意したパンフレットがなくなるなど関心の高さを窺わせた。

「深山荘」は三笠地区で数十軒の貸別荘を営んでいた実業家の前田栄次郎が、1942年に建設したアパートスタイルの貸別荘。戦時中の1944年、軽井沢が外国人の疎開地に指定されると、スイス公使館が使用。戦後は1967年から2006年まで東京電機大学の学生寮として使われていた。

 建物は敷地面積2100㎡、延床面積485㎡の一部2階建て。一階に厨房やボイラー室、使用人の部屋、2階中央八角形のホールの両脇に宿泊者用の部屋(ベランダ付き8畳の洋間5室、6畳洋間5室、6畳日本間5室)がある。
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 見学会では、軽井沢ナショナルトラスト会長の大久保保さんと会員の木下裕章さんが、建物の特徴やスイス公使館の果たした役割などを説明。大久保さんは「スイス公使館は、疎開した他国の大公使館の窓口となり、食料や燃料の確保に努めた。三笠ホテルに置かれた外務省軽井沢事務所とも連絡をとり、戦時中も国際親善の役割を果たした」。木下さんは建物について「中央と南側の2カ所に階段があり、宿泊客と使用人のスペースがはっきり分かれているのが見るとわかる」などと話した。

 横浜市から訪れた60代の男性は「ずっと中を見たいと思っていた。豪華な作りを想像していたが、規格化された質素な作りで驚いた」と述べた。この日はスイス公使館の果たした役割を探るシンポジウムも、町中央公民館で開かれた。

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