「鳥が減ったのかしら? 声が全然しないのよ。」「鳥の姿が見えないんですが、今いないんですか?」秋になると、時々こんな事を聞かれます。確かに、今森を歩いても、鳥の声はあまり聞こえないかも知れません。姿を見る機会も少ないでしょう。これは、鳥たちがチッチッ、チャッチャッ、というような地味な声しか出さなくなった上に、落葉前の森の中では姿が葉に隠れて鳥を見つけにくいからです。春から夏にかけて賑やかにさえずっていた鳥たちの印象が強いと、秋は鳥がいないと思ってしまうのも無理はありません。ただ、鳥がいなくなるとは言えませんが、いなくなる種類があるとは言えます。

 秋、鳥たちは渡りの季節を迎えます。南の越冬地へ飛んでいくのです。山地から平地の雑木林に移動したり、北日本から南日本に移動したり、中には、遥か東南アジアやオーストラリアまで飛んでいく鳥もいます。しかし、軽井沢から見れば、南へ去っていく夏鳥を送り出すだけでなく、北からの冬鳥を出迎える季節でもあるということです。つまり、軽井沢で見られる鳥の種類が、夏から冬へと入れ替わる時期を迎えているのです。

 注意してみれば、軽井沢を中継地としてさらに南を目指していく夏鳥(キビタキ、アカハラなど)に出くわしたり、早くもシベリアから渡ってきた冬鳥(ツグミ、アトリなど)を見かけるかもしれません。そして、これから渡りをする鳥にも渡り終えた鳥にも、この季節の山の実りは大切な食糧になっています。

 

 

※写真をクリックすると拡大写真が現れます

写真(上)アトリ、写真(下)ズミの実を食べるアカハラ

 

 


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