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軽井沢新聞 スペシャル
軽井沢新聞 スペシャル

127年目の軽井沢

Vol.6

(前号までの内容)
軽井沢自然保護対策要綱は保養地域(別荘地)の自然を守り快適に過ごせるよう配慮した内容が盛り込まれている。しかし、要綱に関することを決める「自然保護審議会」の理事に別荘所有者は一人も含まれていない。その理由とは?
 保養地域に暮らしている別荘住民を、理事に加えない理由とは何なのだろうか。当時の町長・佐藤雅義さんにその理由を尋ねたが、「昔のことだから覚えていない」という返事で答えにならなかった。
 今年7月30日、別荘団体連合会は現町長に「自然保護審議会」理事に別荘住民を入れるよう求めた。別荘住民が入っていない理由について、同席した生活環境課長は「遠方から出席する別荘住民では決めることに時間がかかるから」と話したが、別荘団体連合会は「都内から新幹線で約1時間なのでそれは理由にはならない」と述べた。結局、はっきりとした理由はわからなかったが、現町長は「自然保護審議会」の理事に別荘住民を入れることを検討すると約束した。
 2012年の春、南ヶ丘を通りかかった今井優子さん(仮名)は、別荘地約500坪の敷地の木を切っている場面に遭遇した。敷地内の木々は全て伐採され、大きなモミジやコブシの幹が横たわっていた。さらに境界の並木を切ろうとしているので、思わず「並木は切らないで」と叫んだ。驚く業者の人に「道路際の並木はずっと続いている。ここを切ってしまったら、並木のバランスがくずれて別荘地としての美しさが半減する」と説得を続けると業者の人は所有者に連絡してくれ、南ヶ丘通り側は切らないことを了承した。
 今井さんが「伐採の届は出しているか」と尋ねると、その業者は「メッシュで区切った面積の合計が300㎡に満たないから、届出なくていい」と答えた。何のことか分からず、役場へ訊きに行くと1枚の紙を渡された。
 内容を理解した今井さんは驚いて声をあげた「これでは、並木は切られてしまう」。
(次号へ続く)

広川小夜子
※「127年目の軽井沢」の127年とは、A.C.ショーが軽井沢を避暑地として見出してからの歳月。
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「自然保護対策要綱に基づく伐採の届出に係る取扱いについて」
【運用基準】木竹の伐採の届出の対象面積の算出方法
(1)区画の皆伐の場合の面積
   区画面積を届出対象面積とする。
(2)区画内の一部における一団の皆伐の場合の面積
   区画内を3mメッシュで分割し、伐採する樹木の樹冠の水平投影を含むメッシュの面積の合計を届出対象面積とする。ただし、メッシュ内に含まれる樹冠の水平投影面積全体の20%未満であるメッシュの面積は合計に含めないことができる。

127年目の軽井沢

Vol.7

(前号までの内容)
別荘地の木を伐採している場面に遭遇した今井さんが「伐採の届け出をしているか」と尋ねると、その業者は「届ける必要はない」という。調べてみた今井さんは驚いた。「これでは並木は切られてしまう」。
 軽井沢自然保護対策要綱(以下、要綱)では、1000m²以上の土地の木を伐採する際は役場へ届け出ることになっている。しかし、土地を3mメッシュで分割し、伐採する木の面積の合計が300m²に満たない場合は届け出なくてよく、しかも、日陰部分がメッシュ内の面積の20%未満ならそれに含めなくてよいというのだ。
 「境界線にある木は大半が20%未満なので、合計面積に入らない」。これでは簡単に並木が切られてしまうことに、今井さんは気づいた。生活環境課に訊いてみると、やはり「境界線の木をメッシュ合計に入れる人はいない」という返事だった。
 このメッシュ方式はいつ誰が決めたのだろう。メッシュの図を入れた「要綱に基づく伐採の届出に係る取扱いについて」の紙には「平成20年2月13日自然保護対策会議了承済」と書かれている。同会議は、町役場内の生活環境課や建設課等の各課長と担当職員で行うという。議事録を取り寄せて調べてみたが、記録は「自然保護対策要綱に基づく伐採の届出に関する取り扱いについての協議が行われた」という1行だけだった。どのような経過で決めたのか、きちんと記録していないのはなぜか。当時の生活環境課長だった小林茂樹さんに尋ねた。「これまでは『なるべく』とか『できる限り』という説明だったので、300m²という数字を出し算定する方法を考えた。300とは第1種住居地域の分譲の基準。広い土地の中で伐採の部分が300になるかならないかという目安を作るため、メッシュを考えた」。なぜ、記録されていないのかという質問には、「『要綱の取り扱い』とは事務的な考えをまとめたものなので、関係各課の調整や意見をきくためのものだから」という回答だった。取材をしてみて、これは要綱の精神に合っているのだろうかと考えた。切る木が多くても少なくても皆伐(全て木を伐採すること)すれば、あとは殺風景な空き地が残るだけだ。自然を大切にする軽井沢の別荘地らしい景観とは言えないだろう。簡単に並木道を壊すようなやり方も「自然保護対策要綱」という名にふさわしくないのではないだろうか。木の伐採については、もう一つ問題があった。
(次号へ続く)

広川小夜子
※「127年目の軽井沢」の127年とは、A.C.ショーが軽井沢を避暑地として見出してからの歳月。
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127年目の軽井沢

Vol.8

(前号までの内容)
300m²の土地の木を切るときは町役場に届け出なければならない。しかし、メッシュ方式というものがあるため、並木が簡単に切られてしまうことに町民の今井さんは気づいた。さらに木の伐採についてはもう一つ問題があった。
「300m²以上の土地の木の伐採のことを届け出ると、どうなるんですか」と今井さんは、町役場生活環境課に尋ねた。「植栽計画書を出してもらえば、伐採はOKになります」と窓口の担当者。「計画書通りにしたかどうか、あとでチェックに行きますか」と更に尋ねると、その若い担当者は「毎年、100件以上の申請があるので、とても見に行けません」と正直に答えた。「調べないのであれば、紙切れ1枚の計画書さえ出せば切ってよいということなんですね」今井さんは、林が消えて棲みかを失う小動物たちを思い憤慨した。
 その話を聞いて私も生活環境課に行き質問したが、やはり答えは同じだった。「見に行かれないって...これはあなた達の仕事でしょ」と怒ると、その若い職員は「それじゃ、もっと、職員を増やすように(町長に)言ってくださいよ」とまで言うので驚いた。「計画書どおりに行ったと証明する写真を何枚か提出させたらどうですか。それなら調べに行かなくても済むじゃないですか」と提案しても、「写真を出せなんて言えませんよ」と否定的。「じゃあ、計画書どおりかどうかの確認はどうするんですか」と問い詰めると「信用するしかありません」。これには呆れてしまった。
 チェック機関がないのは大きな問題だ。これだから、軽井沢の緑がどんどん失われてきているわけだ。軽井沢町に自然保護対策要綱という大きな要(かなめ)があっても、職員にチェックする気持ちがないのでは意味がない。 
 一方、町民の側にも問題があった。「自然保護対策要綱の内容をよく知らない」「別荘地の決まりだから、自分たちには関係ない」と思っている人がたくさんいる。数年前に、追分で300m²の土地の木が皆伐された様子を『別荘地が危ない』というタイトルで記事にしたことがあったが、その土地の持ち主は軽井沢に何十年と暮らしてきた地元の人だった。伐採するときの届け出のことは全く知らず、所有地だから自由にできると思っていたという。
(次号へ続く)

広川小夜子

※「127年目の軽井沢」の127年とは、A.C.ショーが軽井沢を避暑地として見出してからの歳月。
ph_201311-01.jpg300m²以上の土地の木の伐採は
け出なければならないが、メッシュ方式では
道路際の並木は切られることが多い

127年目の軽井沢

Vol.9 最終回

(前号までの内容)
木の伐採の際、面積によっては植栽計画書と共に町役場へ届け出ることが義務づけられている。しかし、計画書通りに実行したかのチェックは行っていないと担当者。また、町民が要綱の内容をよく理解していないという問題もあった。
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軽井沢の原点を考える『軽井沢ショー祭』
 連載を8回続けて来たが、その中で、様々な問題点が浮かび上がった。
 軽井沢自然保護対策要綱(以下、要綱)があっても、軽井沢の自然環境が悪化するのは、チェック態勢がないことに加えて、要綱の曖昧な表現にも原因がある。「できるだけ~する」「保護に努める」「自然景観に調和させる」では基準がはっきりしないので、「できるだけそうしてください」という指導しかできない。その点「高さ10m以下」「後退5m」とはっきり数字を出しているものはわりと守られている。曖昧表現を直さない限り、適当に解釈され守られない。「要綱は担当課長の解釈で変わることも多い」と、ある不動産業関係者は言う。大事な町の要(かなめ)であるなら、解釈自由な曖昧表現でなく、はっきり書く必要があるのではないだろうか。町民の多くが要綱を理解していないのも問題だ。町はもっと、町民に知らせる方法を考える必要があるだろう。
 この夏、藤巻町政としては初めて、軽井沢町の長期振興計画を発表した。「当町がめざすまちの姿は美しい自然そのもの(略)。きよらかな風とさわやかな空気、四季折々に魅了する景観形成こそが軽井沢の財産です」と基本理念を掲げている。これこそまさに自然保護対策要綱を作った先人たちの考えそのものである(vol.4参照)。藤巻町政が本当に「まちの姿は美しい自然そのもの」と思うなら、まず、要綱をしっかり守るよう、チェック機能のある態勢を整えてほしい。道路沿いの木が簡単に切られ、たやすく皆伐され「魅了する景観形成」を壊すメッシュ方式は基本理念に反するので、すぐに止めるべきだ。
『軽井沢自然保護対策要綱』は今後、どこへ行くのか。時の流れによって都合のよい解釈をされ、チェックする人もなく、名前だけの要綱になってしまうのか。それとも、先人たちの精神をつらぬいて軽井沢の指針としていくのか。要綱が向かう方向によって、軽井沢が別荘地としてのクオリティを落とすか、維持できるかが決まると言っても過言ではない。  
  
広川小夜子

今回で、一旦終了します。「128年目の軽井沢」に向けて、軽井沢自然保護対策要綱はどこへ行ったらいいのか、皆様の意見を募集します。ご意見はEメール、FAX、郵送で。
※過去の記事は下記のバックナンバーからご覧いただけます。

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PDF軽井沢新聞4面

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