軽井沢町と財団法人軽井沢大賀ホールは8月13・14日、元ソニー社長で4月に81歳で亡くなった大賀典雄さんの追悼コンサートを同ホールで開いた。大賀さんと親交があったロンドン交響楽団首席客演指揮者のダニエル・ハーディングさんが指揮し、大賀さんが会長・理事長を務めた東京フィルハーモニー交響楽団が、ベートーヴェンの交響曲第9番などを演奏した。
8月13日の公演前に開かれた記者会見にはハーディングさんのほか、東フィルの石丸恭一専務理事、藤巻進軽井沢町長が出席。ハーディングさんは軽井沢大賀ホールが完成したことを聞きつけ、同ホールを視察するためだけに2005年に来日している。「大賀さんは人を惹き付けるカリスマ性と先を見通す力がある、まさに伝説の人。大賀ホールを初めて訪れた日からここで演奏することを夢見ていた。今回ようやくその夢が叶うことになったが、この場に大賀さんがいない寂しさは拭えない」とコメントを寄せた。
またこの日演奏される『第9』について、「大賀さんにとって一番思い入れの深いシンフォニー」と語ったのは石丸さん。ソニー社長だった大賀さんがCD開発の際、一枚で『第9』が全曲収録できるようにと録音時間を75分にしたという逸話もある。そして藤巻町長は「大賀さんの気持ちを受け継ぎ、ホールを中心として軽井沢の音楽文化の高揚をさらにはかっていきたい」と考えを述べていた。
コンサートには東フィルのほか、東京オペラシンガーズなどが出演し、『第9』のほかバッハの『アリア』を演奏。座席を埋め尽くした観客の拍手は、演奏が終わってもしばらく鳴り止むことはなかった。