|
昆虫を0℃近い空気にさらしたら、普通は仮死状態になって活動できないものです。その寒い季節に活動できるフユシャクガは、見た目は地味でも驚くべき存在です。他の蛾の仲間は体温が30℃くらいまで上がらないとはばたけないのが一般的です。それに対してフユシャクガは0℃近い体温のままでもはばたくことができ、逆に高温では弱ってしまう特殊な体へと進化したのです。
ではなぜ、彼らは冬に活動することを選んできたのでしょう。蛾にとっていちばんの天敵は虫の中でも蛾をたくさん食べるコウモリでしょう。そのコウモリも虫が飛ばなくなる冬には冬眠してしまいます。天敵が最も少ない時期に合わせていった結果、フユシャクガは冬に活動するようになったのかもしれません。
軽井沢でこの不思議なフユシャクガが見られるのは厳冬期をのぞく11月から12月と3月から4月ごろ。メスを探して冷たい森の中をひそかに飛び回っています。
|