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軽井沢の文化遺産は守れるか③

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 軽井沢の歴史的文化遺産を自分たちで守ろうとする人たちがいる。建物は使わなければ傷む、使ってこそ価値がある。彼らはそうした観点から活用しつつ維持してきた。

 旧軽井沢の室生犀星旧居前にある「カフェ涼の音」は明治・大正期の別荘。ライシャワー夫人・松方ハルが所有し、その後、カナダの貿易商サロモンが所有した別荘で、作家の森瑤子が暮らしていたことでも知られている。

 この別荘が売りに出されたとき、軽井沢の歴史に詳しいAさんは「売ったら建物は壊される」と一大決心をして購入した。数年前に小倉の里に別荘を持ったばかりなのでこの建物は知人に貸し、2012年からカフェとして活用している。

 南ヶ丘のゴルフ場近くに、宣教師の娘エロイーズ・カニングハムが建てた吉村順三設計の「ハーモニーハウス」がある。

 エロイーズは財産をつぎ込んで青少年音楽協会を立ち上げ、101歳で亡くなるまで、日本の子供たちの音楽教育のために活動した。エロイーズ亡き後、青少年音楽協会はこの建物を維持することが難しくなり、売却の話が持ち上がった。「売られたら壊され、細かく分譲されて自然も破戒される。この建物を守り、自然もそのまま残す方法はないか」と、事情を知る地元の人たちが集まって相談した。「カフェとして運営し、その売り上げを家賃として払うことで音楽協会は維持できる。それによって吉村順三の名建築も残すことができ、自然を守ることもできる」という計画が進み、2015年に「エロイーズカフェ」としてオープンした。

 どちらも軽井沢らしい物語と雰囲気のあるカフェとして人気店となっていった。軽井沢の特集を組むテレビや雑誌はこぞって取材し取り上げた。その反響が大きく、店の前には行列ができた。

 「カフェ涼の音」では、それまで何も言ってこなかった近隣住民が「葉が落ちて来て迷惑。木を切ってほしい」と言ってくるようになった。Aさんは何本か枝を切ったが苦情は収まらず、隣人はさらに「もっと木を切って」と要求し、ついに裁判へ発展した。(次号へ続く)
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