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軽井沢新聞 スペシャル
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軽井沢で出会った人々 vol.10

詩人・童話作家 岸田 衿子 さん

きしだ・えりこ
山荘 取材当時の山荘
可憐な野の花、木々の香り...昔からそのままの優しい風景がある浅間山麓の小さな村。詩人の岸田衿子さんは1年の大半をその村で過ごしていた。そこは北軽井沢・大学村。  「軽井沢で出会った人」というタイトルでは衿子さんに叱られるかもしれない。

「下の軽井沢と一緒にしないで。きらびやかな軽井沢とはまったく違うから」と言われそうだ。そのくらい、彼女にとって大学村は、大切な特別な場所だった。

 私が衿子さんの別荘を訪ねたのは1989(昭和64)年。森の中の教会を思わせる可愛らしい山荘だった。

 リビングルームには大きな暖炉があり、蕗の葉がペタッと張り付いている。壁にはアケビと小梨の実、テーブルには水引草や山母子のドライフラワー。山の生活を楽しんでいる様子がこの部屋いっぱいに感じられた。

 私は別荘訪問のときは、たいてい花か果物を持っていく。この日は花屋で買った花を手にしていたが、心の中で「失敗!果物にすればよかった」と後悔していた。花屋の花はこの部屋に合わない。テーブルの上の水引草が素朴な部屋の雰囲気によく合っていた。

 毎年、夏を過ごした大学村には衿子さんの楽しい思い出がいっぱいある。その様子は『草色の切符を買って』などのエッセイに描かれている。 「最初に建てた茅葺屋根のチロル風の家は漏電で焼けてしまい、そのあと建てたのがこの家。私の代になってから、玄関を張り出して塔をのせたの」  周りの山を眺めたくて塔をのせたそうだ。

 「鐘の代わりに鐘型のランプをぶら下げたの。遠くから見ると、鐘が付いているように見えるでしょ」深い緑が包み込むその外観は、童話のシーンを思わせた。

 帰り際に、「秘境探検にぴったりの所があるわよ」と教えていただいた。さっそく、その「秘境」を探検し41号に掲載した。そのタイトルは「詩人がすすめた秘境・もう一つの千ヶ滝」。なかなかスリルのある所だった(発売中の『秘境探険』にも掲載)。

きしだ・えりこ
詩人、童話作家。東京生まれ。劇作家・岸田國士の長女。妹は女優の岸田今日子。詩集「忘れた秋」など多数。放送詩劇も書き、放送イタリア賞受賞。数多くの絵本や童話を手掛け、「かばくん」は欧米で翻訳出版され高い評価を受けた。「アルプスの少女ハイジ」などアニメの主題歌の作詞でも知られている。2011年4月、82歳で死去。
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