軽井沢現代美術館

森の中の隠れ家美術館

草間彌生や奈良美智、白髪一雄、名和晃平、ロッカクアヤコなど、海を渡り世界で高い評価を受け 日本人アーティストの作品をコレクションし、テーマに合わせて展示している東京・神保町の画廊が運営する美術館。

館内には1階常設展示室、小展示室、2階企画展示室があり、それぞれ企画展を開催。2階ギャラリーでは、版画作品や彫刻、気軽に飾って楽しめるアートポスターを展示・販売している。
ミュージアムグッズコーナーでは、アーティストのグッズや書籍、オリジナルノートやバッグなど、来館の記念になる商品を取り揃えており、緑に囲まれた美術館でゆったりとした時間を過ごす事ができる。

2023年は4月27日(木)~11月23日(木・祝)開館。

詳細情報は当館HPをご覧ください。

店舗基本情報

住所
〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2052-2
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電話番号0267-31-5141
アクセス

軽井沢駅から車で5分、軽井沢町立図書館上隣り

営業時間

10:00~17:00(最終入館16:30)

定休日火曜日・水曜日(GW及び、夏期は無休開館)、11月下旬~4月中旬は冬期休館
駐車場20台
ペット×
禁煙禁煙
カードカード可(入館料は現金支払いのみ)
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1階メイン展示①.JPG

1F 常設展示室 「海を渡った画家たち」

テクノロジーの飛躍的な進歩により、人々の暮らしはあらゆる制約から解放され、近年では「ボーダーレス化」「グローバル社会」といった言葉がごく身近な共通言語となりました。一方アートの世界においても、新しい様式が一つひとつ歴史に刻まれるごとに、ハイ・アートとロウ・アート、あるいは「絵画」「彫刻」「建築」「演劇」などの技法による区分は曖昧化し、作り手の創造性やコンセプト自体を重視する現代美術が次第に形づくられていったのです。

今展では、私たちを取り巻く世の中の在り方を踏まえつつ、「境界」をキーワードに当館の所蔵作品を再考いたします。絵画や彫刻に留まらず、ハイブランドとのコラボレーションによってファッションの世界にもその名を轟かせる草間彌生。
プランの構想段階に当たる平面・立体作品から、公共空間を舞台にした建築要素の強いインスタレーションまで、制作過程そのものを 総合的に作品と呼ぶ川俣正。純粋な芸術性をも兼ね備えたインテリアの可能性を追求し、デザインとアートの垣根を問い直した倉俣史朗。

戦後の困難な時代にあえて海を渡り異国で芸術に没頭した画家と、先進的な素材や技術を用いて革新を求める現代作家らによる実に多様な造形は、国籍や性差、伝統など様々なプレッシャーに抗い既成概念に立ち向かおうとするひたむきさに包まれています。

ひとりのアーティストが特定の枠に縛られずに豊かな表現を見せる様は、私たちが何らかの壁を乗り越えようとする時の希望となり、抱くストレスや戸惑いをかつての画家たちの葛藤に重ね合わせ共感することもできるでしょう。 また、時に色や線は画家の意図を離れ、格差やマイノリティなどの社会問題を想起させるかもしれません。

新しい扉を開こうと「脱境界」に挑むことで、依然として消えざるいくつもの「境界」の存在を再認識させられる。 アートならではの方法で永遠に途切れることのないパラドックスを映し出す20名による秀作を、どうぞごゆっくりご観覧くださいませ。

●出展作家 アイオー、青木野枝、荒川修作、井田幸昌、今井俊満、オノ・ヨーコ、金沢健一、川俣正、草間彌生、塩見允枝子、田中敦子、堂本尚郎、名坂有子、奈良美智、名和晃平、東恩納裕一、福島秀子、水戸部七絵、宮脇愛子、ロッカクアヤコ (五十音順)他

1階特集展示.jpg

1F 常設展示室 特集展示  倉俣史朗展 「カイエ」

概要
1960年代半ばから商業空間や家具、プロダクトなどデザインの分野で先駆的な作品を発表したデザイナー倉俣史朗(1934-1991)。アクリル、ガラス、アルミニウム、スチールメッシュ、FRPなど、当時インテリアや家具に使われることのなかった素材を積極的に取り入れ、 “無重力”や“非存在”をテーマに創造の可能性を探求し続けました。

その独創性と希有な存在から、没後30年以上経った今も多くの人を魅了し、同時代を知らない現代の若いクリエイターたちにも影響を与えています。倉俣は、〈変型の家具〉(1970年)シリーズで世に広く認知され、金属とガラスの接着剤「フォトボンド」の出会いから生まれた《ガラスチェア》 (1976年)や、アクリルに薔薇が浮遊する椅子《Miss Blanche》(1988年)など次々と革新的な作品を生みだし、国際的にも高い評価を受けました。

本展では、倉俣が遺した貴重なスケッチをもとに版画にしたシルクスクリーン作品集「倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier」1集2集3集を中心に、 代表作である無重力が具現化されたような椅子《How High the Moon》(1986年デザイン)や本格的に着色アクリルに挑んだデザインのキャビネット《Cabinet de Curiosité》(1989年デザイン)、アクリルブロックのフラワーベース(1989年デザイン)などを展示・販売いたします。
時代を問わず、常に新しく美しい倉俣史朗の世界をご堪能ください。

<倉俣史朗>
1934年 11月29日、東京・本郷(現・文京区本駒込)の理化学研究所社宅に生まれる。
1941年 昭和国民小学校入学。第二次世界大戦が始まる。
1943年 沼津の知人宅に縁故疎開。東京の家が空襲により焼失。
1945年 8月15日終戦。戦後の住まいは文京区駒込。
1950年 文京区立第九中学校卒業、都立工芸高等学校入学(
1953年卒業)。
1955年 桑沢デザイン研究所リビングデザイン科入学(
1956年卒業)。
1957年 三愛宣伝課入社(
1964年まで)。
1965年 松屋インテリアデザイン室嘱託を経て、クラマタデザイン事務所設立。
1972年 第18 回毎日産業デザイン賞受賞。
1981年 エットレ・ソットサスの誘いで「メンフィス」に参加。第2 回日本文化デザイン賞受賞。
1990年 フランス文化省芸術文化勲章受章。
1991年 急性心不全のため2月1 日逝去(享年56)。

2階企画展示.jpg

2F企画展示室 津上みゆき展 「View-時の景」

この度、軽井沢現代美術館では、津上みゆきの個展「View ‒ 時の景」を開催いたします。津上みゆきは1973年東京に生まれ、大阪に育ち、1998年京都芸術大学大学院を修了。2003年画家の登竜門とも言われるVOCA賞を受賞しました。

主な個展に、2005年「ARKO 津上みゆき」(大原美術館)、2013年「View-まなざしの軌跡、生まれくる風景」(一宮市三岸節子記念美術館)、2015年「日本の風景、ウッカーマルクの風景」(ドミニカナークロスター・プレンツラウ/ドイツ)、2018年「時をみる」(上野の森美術館ギャラリー)、2019年「View-人の風景」(長崎県美術館)、2022年「さらさら、ゆく」(CADAN有楽町)、「囁く如く」(NADiff a/p/a/r/t) などがあり、国内外で 数多くの作品を発表してきました。

津上は、1996年ニューヨークでの滞在制作の際に作品について再考する機会を得、帰国後独自の絵画を改めて探求し始めます。2005年大原美術館が行う滞在制作プログラムにおいて、日々のスケッチを元に風景画を描くという現在まで続く制作方法を確立しました。2013年五島文化財団 文化賞美術部門 新人賞受賞により、風景画誕生の地と言われるイギリスに滞在、過去の風景画家とその作品についての研究と制作を行いました。

作品タイトルの “View*”という言葉は、目の前に在る風景だけでなく、見方や考え方という広い意味を含んだ風景画を追求していることに由来しています。津上はスケッチとその際に書き留めたことばと共に、その土地の自然や歴史、人びとの営みなど入念なリサーチで得た知識をも手掛かりにして、キャンバス作品へと昇華させていきます。その結果、生み出された絵画は大胆な色彩や様々な筆致によって表現され、私たちにそれぞれの記憶の中やまだ見ぬ内なる風景を想像させます。つまり、津上の風景画は、私たちが絵画と向かい合うこの瞬間に出会うことであり、絵画を見つめる時間と個々の眼差しの先にある、時を伴う、人の風景なのです。

人の叡智から生まれ絶え間なく流れる「時」、文明の発達と共に変化する「都市」、生き物の意思によって形成される「道」、私たちの暮らしに寄り添う「樹」など、多様な風景画で本展は構成され、津上にとって初めての展覧会の開催となる軽井沢の地で、未発表の作品を含めた近作を展観します。日頃から私たちと親密な関係がある風景という存在に、津上の作品が新たな気づきをもたらすかもしれません。

*View : 【1】 見ること; 眺め; 眺望; 視力; 視界; 【2】考察; 見方; 見解; 考え.(研究社英和用語辞典)

2023年6月から始まるアーティゾン美術館(東京)の展覧会「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開セザンヌ、フォーヴィズム」にて新作の大型作品を発表する。

●出展作家
津上みゆき

2023年4月27日(木)~ 11月23日(水・祝)

入館料
一般:1,000円(常設展示共通)
65歳以上、大高生:800円 
中小生:500円

開期 2023年4月27日(木)~11/23(木・祝)