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軽井沢新聞 スペシャル
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Karuizawa Report 三善里沙子(エッセイスト)

この夏の軽井沢は

mitsui_012.jpg 三井別荘
 軽井沢に来るといつもホッとする。それは、豊かな自然に包まれると共に、子どものときからの過去が、タイムカプセルを開けたときのように思い出されるからだ。
 この夏の軽井沢は、雨の日が多かったが、目に見えてさまざまな変化もあった。
駅からロータリーに向かうと瀟洒な建物が!カフェレストランが併設されたホテル、ルグラン。ホテル音羽ノ森の前も、新しくホテルがたつ模様。素敵な勢いはちよっと嬉しい。
 いっぽう、中軽井沢に向かう道沿いのマツヤは、この夏で店じまい。来春、デリシアとしてオープンするという。最終日の閉店間際に行ってみたら、店長さんはじめスタッフの皆さんが手を振ってくれた。
 かつて平安堂とマツヤの灯りで明るかった道も暗くなり、寂しさを感じる今日この頃。来春のオープンが待たれるが、平安堂の後はどうなるのだろうか。軽井沢に本屋さんが一軒もないのは残念だ。中軽井沢の駅に隣接した図書館は素晴らしいが、新刊を手にすることができない街はあまり文化的とはいえないように思う。
 文化といえば、工事が終わった軽井沢中学校の造りは豪奢でモダンである。こんな素敵な校舎は、きっといい影響を生徒たちにもたらすだろう。14年に開校したインターナショナルスクール「ISAK」の今後も楽しみ。
 国際交流がそして人間関係が、基本ベースにある軽井沢、また何らかの形で国際交流パーティも復活して欲しい。
 日本にも外国にも、魅力的なリゾートは多々あるが、軽井沢の一番大きな魅力は、自然と共に文化、歴史と共に人なのではないかと思う。
 私が非常に良心的だと感心していた和と洋の、流行っていた人気飲食店が今年、二軒なくなった。コミュニティスペースが失われ残念。一軒は家庭の事情で、またもう一軒はなんと若いマダムが急逝されたのだ。予期せぬ方が亡くなることは本当に哀しい。ここのところ連絡が取れなかったシックな布工芸作家の藤木結花さんが、春に亡くなられたということを聞きショックであった。
 軽井沢に来ると、春には八重の桜が、夏にはツユクサやミズヒキ草などが毎年出迎えてくれる。毎年花は咲くけれども、毎年同じ人に会えるとは限らないのだ。
 ところが、さらに古い思い出になると、その方たちが、軽井沢の守護神として、空気の中に溶け、軽井沢を守ってくれているような気がする。
 私がお会いしていた方だけでも、たとえば中村真一郎さん、辻邦生さん、堤清二さん、朝吹登水子さん、そして堀多恵子さん......、軽井沢が大好きだったその方たち。やはり軽井沢を愛した叔父、三善晃も、旧軽井沢の墓地に眠るが、不思議に軽井沢は、過去と現在がらせんのようにリンクするようだ。
 そうそう、かつて何気なく外観から空想し、在りし日の豊かさを想像していた朽ちた別荘は、あの三井家の広岡浅子ゆかりのものであった。今は、軽井沢総合研究所の限定ツアーで見学もできる。
 甘き香りのベルエポック、軽井沢に来ると、そんな時代の残り香がときおりたちのぼり、少々苦い現実の中でも幸いを感じられるのだ。

Karuizawa Report 三善里沙子(エッセイスト)

緑と風を感じる軽井沢に

緑と風を感じる軽井沢にカフェ 涼の音
 ようやく、秋めいてまいりました。ごぶさたしましたがお元気でいらっしゃいましょうか。この夏も軽井沢で過ごさせていただきました。

 今年の軽井沢はクーラーが欲しいくらい暑かったり、ストーブをつけるほど冷えたり、いつもより寒暖の差が激しい夏でした。
 日中、街に出るとアスファルトの照り返しがきつく、木陰を求めたくなりました。やはり緑の多い所は涼しくてホッとします。街中では、観光会館前などをはじめとして、ぽつぽつと木が立っています。個人の方でも、みやぎさんなど、樹木を植えようという方は頑張っていらっしゃるのですが、何しろ全体的に少ないような......。
 はっきりいって、南口のアウトレットに押されてしまうのは、街歩きがいまひとつ楽しくないからではないでしょうか。いろいろ取りざたされるアウトレットですが、山と木と芝生と、自然を感じながら歩けるのは嬉しい。軽井沢の街も、緑で覆われていれば、散歩がてら歩く気にもなるものです。
 長年木の保護活動を続けている「しいある倶楽部」の鈴木美津子さん によれば、今までは枝を切ってと頼まれてきたけれども、今年は「切らないで」というお店の人の声が多かったとか。木の下で涼む人が多かったそうです。そんな鈴木さんは、今年はチャーチストリートをプロデュース。緑豊かに生まれ変わりました。
 また、スーパー紀ノ国屋跡に出店したSAWAMURAは、空間と緑がうまく調和し、好評でした。やはり新店舗のFOUNDRYは、フランスの田舎家風なアレンジで、奥行きもグリーンの配置も和みます。
 思えば、軽井沢のカフェも、老舗のミハエル、リスの来るラフィーネ、カレーのサジロカフェ、ベランダ的な涼の音、ハルニレテラスまで、開放的なテラススタイルが人気です。緑と風を感じられ、なにより空気が都会と違っておいしいから。
 好きだった旧軽のマッジオ・ダ・アダージオがなくなったのは残念ですが、テラスを引きつぎピレネー系列のVenusができました。
 街に話を戻すと、私が子どものときは、旧軽井沢銀座に行くのが楽しみでした。毎日でも行きたかった。そこには洒落たもの、他にないものがあり、素敵な人が居て、ドキドキワクワク、何かしら発見があったのです。
 いっぽうこの夏、ある路地は、もう数件の飲食店を除いて、シャッター街のように。これは、大変ショックなことでした。
 私の住む東京の杉並区は商店街活性化のために千客万来企画というのを区がサポート。私は選考委員として蛍を飼育する商店街などを選ばせていただいたのですが、その商店街は非常に話題になり発展しました。
 軽井沢町も、中長期の街の緑化とお店の育成を考えていただければ幸いです。現状は、若い人が意欲をもって店を始めても、資金も続かず一年でやめてしまうケースも多いとか。
 軽井沢は、一年ではなかなか人に知られることが難しい。せめて三年はなんとか頑張れるように、軽井沢に合うお店のサポートが助言も含めてできないものでしょうか。
 軽井沢銀座はやはり街の顔、かつては、本家銀座に勝るとも劣らないとまで言われていたのですから。 。

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