「検疫体制の確立など、平時に準備強化を」

 集団感染が起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセンス」号に乗船していた町内の60代女性に、船内の状況や下船後の過ごし方について聞いた。



 1月20日に横浜を出発。鹿児島→香港→ベトナム→台湾と巡り、最初に船内の異変を感じたのは、沖縄に就航した2月1日。検温と問診票の記入を行うよう言われ、下船が予定より4時間近く遅れた。横浜に着いた3日夜、香港で下船した人が感染していたこと、14日間の船内待機がアナウンスで伝えられた。



 停泊中は埠頭側に多少傾いている感じで「だんだん自律神経がおかしくなった」。常備薬が切れそうでフロントへ連絡するも、混み合って全く繋がらず「横浜に停泊していたのだから、せめて国内の対応窓口を設置してほしかった」。



 部屋から出られない状態が続き、船のデッキへ順番に出られるようになったのが12日で、「階段を上るのも辛いほど体がなまっていた」。



 20日に下船できたが「その後の過ごし方については何も言われず、自己判断に任せるとのことだった」。それでも2週間は、自宅から一歩も出ないと決めた。佐久保健所からは毎朝連絡があり、検温記録を報告するも「『困っていることは?』などのフォローは特になし」。



 買い物は、町内の友人に必要なものを伝え、玄関先に置いてもらうようにしていた。「頼れる人がいたのでありがたかったが、そうでない人は厳しかったはず」。下船から13日間が経過した3月3日現在、容態に変化はないという。



 今回の感染拡大を教訓に、女性は「平常時に準備を進め、何か起きたときに対応できる状態にしておかないといけない」と強調。権限を持った機関のもと、検疫体制の確立と感染を拡大させないプログラムづくりが急務と訴えた。

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