軽井沢高校「日本史探究」の授業で、満州開拓団の元団員が特別講義
軽井沢高校は11月20日、満州開拓団の元団員である市川渥夫さんを講師に迎え、特別授業を行った。「日本史探究」の授業の一環。同科目を選択する2・3年生9人が、大日向開拓記念館を併設する大日向公民館を訪れ、市川さんの体験談に耳を傾けた。
(写真=生徒からの質問に答える市川渥夫さん)
戦争が私たちをひどい目に合わせた
1938年、3歳のときに家族とともに佐久穂町の大日向村から満州大日向村(現・中国吉林省舒蘭市)へ渡った市川さん。現地での暮らしや敗戦後の新京(現・長春)での難民生活を振り返りながら、「戦争が私たちを本当にひどい目に合わせた。とにかく話し合いで仲良くしていくことが大切だ」と語気を強めた。
最も印象に残っている出来事に、約10カ月間に及んだ「難民生活」を挙げ、「食べるものも着るものもなく、風呂も入れなかった。栄養失調などで、毎日5~6人の団員が亡くなっていった」と当時の状況を語った。
生徒からの「もともと満州に住んでいた人たちとの関係はどうだったか」という質問には、「私たちの部落は、非常に良い関係。敗戦後に襲撃が来ることも、近隣の中国人が前もって知らせてくれた」。
日本に帰国後入植した、軽井沢町大日向区の開拓については「当時は国道より北は全てカラマツ林。そこをみんなで切り拓いた」と市川さん。3年の女子生徒は「私たちには想像できないような体験を乗り越え、今を生きている。貴重な話を聞くことができた」と述べた。
(写真=市川さんの案内で、生徒は軽井沢の開拓に使った器具などを展示する記念館も見学した。)
