【軽井沢新聞3月号】川端康成の別荘の一部を利活用 カフェが彦根市に誕生

 2021年9月に解体されたノーベル賞作家・川端康成の別荘の部材を活用した「文豪カフェ」が、滋賀県彦根市に誕生した。手掛けたのは、株式会社GCAT(岐阜県)の代表取締役会長の所源亮さんで、2021年当時、旧軽井沢で書店「やなぎ書房」を営んでいた。

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写真=内壁、窓枠、暖炉、家具などは、川端康成の別荘から移設したもの。

 川端康成は1940年頃、旧軽井沢にある別荘を外国人から購入し、この別荘で数々の作品を執筆した。遺族の死去後、別荘は2021年に売却されると神奈川県の不動産業者が取得。取り壊されることになった。この別荘を巡っては、軽井沢町も移築保存を検討していたが、費用の面から断念した経緯がある。

 所さんは取り壊しのニュースを知り、すぐに関係者に連絡を取り、資材を入手。10トントラック一台分の資材は同社の倉庫(滋賀県)に運ばれ、京都大学建築学科が調査しコード化した。その後、軽井沢での再建を目指して一部復元も検討したが、さまざまな事情から滋賀県彦根市となった。

 川端別荘から取り出した壁材や窓枠、柱、土管煙突、愛用されていた家具などは、彦根市キャッスルロード沿いの古民家に、文豪カフェとして再利用されている。軽井沢の古い別荘でよくみられた川原石の暖炉も復元。店内には所さんのコレクションと川端の愛読書が置かれ、利用者が静かに読書にふけることができるようになっている。

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写真=部材入手から再建までのプロジェクトを手掛けた所源亮さん。

 所さんは「保存できた部材はすべて使いました。こういうやり方もあるという一例になればいいですね。琵琶湖から5分ほどの気持ちの良いロケーションなので、ここで本に触れてもらえれば嬉しい」と話している。文豪カフェは3月18日に正式オープン。作家を交えた文学イベントなども定期的に開催予定だ。

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写真=彦根・夢京橋キャッスルロード沿い。城下町の町屋のフレームはそのまま利活用した。

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