解体か、保存か、三井三郎助別荘が売却

1908_news_mitsui.JPG
アメリカ留学の経験がある三井三郎助が建てた別荘は明治時代としては画期的な建物。
 旧三笠ホテルより5年古く、現存する軽井沢の洋館別荘(一部和館)としては最古の三井三郎助別荘が今年1月に売却されていたことがわかった。著名人が訪れ、歴史的なエピソードも多い三井三郎助別荘を保存できないかと有志が集まり、一昨年から補修して見学会を開き、何とか保存につなげようと試行錯誤していた。今年4月、建物を保存してもいいという土地の買い手が見つかったため謄本を取り寄せたところ、既に今年1月、ヴァージン諸島のアジア人が所有する会社が購入していたことが判明した。



 この別荘の研究者でもある日本女子大名誉教授の増淵宗一さんはこの謄本を見て驚愕し、すぐに有志とともに軽井沢文化遺産保存会を設立。購入した会社に宛て、「壊さないでほしい。壊すときには知らせてほしい」と航空便を送った。



 また、売却の事実を知った軽井沢町の教育委員会は、この別荘の価値を知らせる資料と共に、壊さないでほしいという要望書を、設計会社を通して所有者へ送った。



 軽井沢文化遺産保存会は写真展や講演会を行い、保存活動を広げていくと話している。
【三井三郎助別荘】

明治33年頃建築。ノーベル賞受賞のタゴール、政治家西園寺公望らが宿泊したことや、敷地内では上皇陛下が皇太子の時代にヴァイニング夫人に英語を学んだことでも有名。朝のNHKテレビ小説「あさが来た」のモデルとなった広岡浅子や日本女子大設立の成瀬仁蔵ゆかりの別荘でもある。

関連記事