解体か、保存か 三井三郎助別荘その後

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左の建物がメイン棟、右の建物はゲスト用のログキャビン。
近隣住民は説明会開催を要望


 三井三郎助別荘の土地を購入した会社、リーガル・オネスト・リミテッド(英国領ヴァージン諸島)は軽井沢自然保護対策要綱に基づく「計画の説明書」を、設計会社(須坂市)を代理として隣接する住民へ送った。それによると、約1500坪の敷地に4棟を建設。そのうち2棟がゲスト用のログキャビンと記されている。



 隣接住民に書類が届いたのが8月29日。「計画に意見等がある場合は9月1日(日曜)までに連絡を」と書いてあり、あまりに時間がないことや受け取っていない住民もいることから、詳しい説明会を開くことを要望し9月1日午後には近隣住民6人の名前で意見書を添え、設計会社と町役場へ提出した。



三井三郎助別荘にそっくりの外観


 一番大きなメイン棟は木造2階建、延べ床面積約137・7坪。食堂棟が約44坪、ゲスト用棟は各34坪。同別荘の研究で知られる日本女子大名誉教授の増淵宗一さんはパースを見て、「三井三郎助別荘にそっくりですね。しかし、いくら似せたところで、本物の趣きは出せないでしょう」。また、近隣住民の一人は「どういう人が何の目的で造るのかわからない。民泊のようにならないか心配」と不安そうな表情を見せた。



19日間で集めた1414人の署名を提出


 軽井沢文化遺産保存会は8月28日、工事禁止期間内に急いで集めた1414人の署名と要望書を、藤巻進軽井沢町長へ提出した。


 町長は、文化遺産としての価値は認識していると述べたものの、町が所有する八田別荘、旧スイス公使館別荘、枡形の茶屋が未だ活用されていないことをあげ、さらに保存するのはハードルが高いと話した。これに対して保存会は数年後に建て替える旧軽井沢の公民館の一部に活用することを提案。「資金についても集めるよう努力する」として今後も署名を集めて行く方針を伝えた。


 29日には町議会議長にも署名を提出。同行した軽井沢町文化財審議委員会会長の大久保保さんは「三井三郎助別荘は三笠ホテルに匹敵する軽井沢の文化遺産」であることを強調した。

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