史上2番目、314・5㎜の雨量を記録 台風19号、家屋全壊や土砂崩れも

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 日本の広範囲で甚大な被害を残した大型の台風19号。軽井沢町では10月12日の降水量が、1925年の統計開始以来2番目に多い314・5㎜を記録した。12日正午頃に、住宅の屋根で雨どいを点検しようとした60代男性が、約3m下の地面に転落し腰を打撲する軽傷を負ったほか、人的被害はなかった。



 町の総務課防災係によると、家屋被害は31日現在、全壊2件、半壊3件、一部損壊が4件。全壊の2件は別荘で、いずれも土砂崩れが原因。半壊と一部損壊は、地下倉庫への流水、土砂崩れ、倒木などによるもの。浸水は床上、床下ともに報告されていない。



 数カ所で土砂崩れが発生した茂沢地区では、家屋や畑まで土砂が流入したところもあった。茂沢川にかかる畑地へつづく橋と護岸が崩落した。13日朝、橋を見に訪れた女性は「これからは別の道を使って、畑に歩いて行かないと」。



停電は最多時、約13000件

全面復旧までに6日間


 電線への倒木などによる停電は、12日正午ごろから各所で発生し、13日朝には約13000件に上った。一時は自衛隊も出動して倒木除去にあたり、停電戸数は15日18時に約3000件に減り、17日15時に全面復旧した。



 千ヶ滝の小松紀男さんは14日夕方、充電スポットととなった町役場を訪れた。停電の中、カセットコンロで調理していると話し「ロウソクをつけて原始生活。暗い中では食欲も出ない。することもないので7時には寝ています」。



 200人の生徒が学ぶ、千ヶ滝西区の全寮制国際高校「UWC ISAK JAPAN」は、停電が5日間続いた。冷蔵庫は使えなかったが、生徒、教職員に必要な食事は確保できたという。同校の広報担当者は「生徒たちの楽観的な姿勢に救われた。電力が戻った時には歓声が上がりました。倒木処理などで、軽井沢町のみなさんに助けて頂き感謝している」。



 土砂流入、越水、倒木による道路の通行止めも各所で発生。国道18号バイパスから碓氷軽井沢ICへ向かう数カ所で土砂の流出などがあった影響で、16日13時までICが閉鎖。碓氷軽井沢IC--佐久IC間の通行止めは23日6時に解除された。



案内所に観光客殺到

「どうしたら帰れるの」


 公共交通にも大きな被害が出た。北陸新幹線は13日の日中は運休し、夜に上り1本、下り3本の臨時列車を運転。25日から、暫定ダイヤによる東京--金沢間の直通運転を再開している。



 13日、軽井沢駅の観光案内所には、朝から国内外の観光客が押し寄せた。電話も一日に60本以上かかってくるなど、2人のスタッフが対応に追われた。「どうしたら東京へ帰れるか」という問い合わせが多く、高崎駅--横川駅を結ぶ信越本線も止まっていたため、高崎までのタクシー運賃を尋ねてくる人も少なくなかったという。スタッフの一人は「情報収集しながら、皆さんへの対応もしないといけない。ずっと喋りっぱなしの一日でした」と振り返った。



 報道による風評などの影響で、直接的な被害のなかった宿泊施設でもキャンセルが相次いだ。13日以降、万平ホテルでは262件、約600人のキャンセルが出た。

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