問われる、災害時の情報発信のあり方

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防災無線の放送やメール配信された内容が、町の公式HPで一覧になっている。
 軽井沢町は10月10日から、台風19号に関する注意喚起や警報、避難所開設、停電状況などの情報を、防災行政無線、事前登録者へのメール、ホームページで発信した。情報提供のあり方については、町民から不満の声があがっている。



 新軽井沢の男性は「暴風雨で窓を閉めきっていて、無線は何を言っているか聞こえない。そのあとで町のHPを見ても、情報が更新されていなかった」。軽井沢町旅館組合の担当者は「停電の復旧状況などを知らせてもらえず、不安になっていた施設もあった」と話した。



 追分在住で、ツイッタージャパンの立ち上げにも携わった櫻井泰斗さんは、災害時に一人でも多くの人に情報が行き渡るよう、町の情報発信プロセスの改善を求め、署名活動を始めた。「別荘所有者や旅行者の方々も、天災時の情報を求めている。オープンかつ迅速に、様々な方に向けて情報提供していくことが、自治体として求められている」。



 櫻井さんは署名で要求することの一つに、軽井沢町の公式SNSアカウントの開設をあげている。「複数の情報収集の手段があると、一つがダウンした時もリスクヘッジになる。より多くの手段で同じ内容を発信するのが大事だと思う」と見解を述べた。



外国人観光客への対応は?


 台風情報の行政防災無線は日本語のみ。町のホームページは英語、韓国語、中国語でも表示可能だが、外国人観光客が必要としている情報にすぐ辿り着けるかは疑問が残る。



 軽井沢観光協会では11日から、日本政府観光局のHPに繋がるQRコードを観光案内所入口に掲示。12日は13時以降、スタッフの安全を考え、案内所を閉所した。事務局長の工藤朝美さんは「インバウンドの人に、災害時の情報をどう伝えて行くかが、これからの一番の課題」と語る。



 軽井沢町は10月、2023年の外国人延べ宿泊者数を年間30万人に増やす「軽井沢インバウンドビジョン」を発表している。外国人観光客に向けた非常時の情報発信、帰宅困難者対策に取り組み、安心して訪れてもらえる体制が作られることに期待したい。

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