信大寄付講座、監査請求は棄却も 「一定の評価」と住民訴訟せず

 軽井沢町と信州大学との寄付講座の寄付金について、3月13日提出の住民監査請求は、5月11日に「違法または不当の公金支出はない」と棄却となった。

 監査結果によれば、信大やその職員の支出は大学の問題であり、町に対する監査の対象外にあたること、寄付金(2億5千万円)は町議会の承認決議を経ていること、寄付金の使用を町が会計検査できないことなどを理由に挙げた。また、信大から年1回の研究報告が町に提出されていない年度があるとわかり、事務手続きの不備を指摘する意見も添えられた。 

町は信大に説明を求める

 今回の監査請求は信大職員が対象のため、監査せず却下することもできたが、請求人の主張や意見に「耳を傾けることが町の将来にとっても重要」として監査を行った経緯を説明している。

 この結果を受け、町は、監査請求人らが指摘した信大社会基盤研究所とNPO軽井沢先端学術センター(KAAC)との「利益相反行為」や、駅前施設利用の実態と利用料の合理性などについて信大に対し文書で対応を求めており、町のHPで公開している。

 また研究目的として無償で町が信大に貸与しているオフィスが、KAACへ無断で転貸されていたと指摘されており、この件についても説明を求めた。登記では2019年から1年間、KAACは同オフィスと同じ住所になっていたが、信大が新たに開示した見積書や請求書では、18年10月から21年10月までの3年間、同オフィスと同じ住所がKAACの住所として記載されていた。

 町は信大からの回答を待ち、今後の寄付講座について改めて協議したいとしている。これまでに今年度の予算に寄付講座の歳出は計上されていない。

 監査請求人の一人、大河原眞美さんは「棄却ではあったが、監査請求人の主張や意見について一定の評価がされたことは有難く受け止めている」と述べ、住民訴訟は行わないという。

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