


作家 中村真一郎 さん

なかむらしんいちろう (1918〜1997年)
東京日本橋生まれ。1939年、東大仏文科2年の時に堀辰雄 と出会い終生師事する。46〜47年に長編5部作『死の影の 下に』で注目され、『四季』4部作は日本文学大賞受賞。評伝 『蠣崎波響の生涯』で読売文学賞、芸術院賞を受賞。1992年 に軽井沢高原文庫の館長に就任。1997年12月死去。随筆 『火の山の物語』には軽井沢での交流が描かれている。
東京日本橋生まれ。1939年、東大仏文科2年の時に堀辰雄 と出会い終生師事する。46〜47年に長編5部作『死の影の 下に』で注目され、『四季』4部作は日本文学大賞受賞。評伝 『蠣崎波響の生涯』で読売文学賞、芸術院賞を受賞。1992年 に軽井沢高原文庫の館長に就任。1997年12月死去。随筆 『火の山の物語』には軽井沢での交流が描かれている。
1980年代、90年代の軽井沢では、白いジャケットにお洒落なマフラーを巻いたダンディな中村真一郎さんをよく見かけた。いつも横には奥様の佐岐えりぬさん(詩人)が寄り添うように立ち、二人を囲む空間は文化的な薫りが漂っていた。
中村さんは別荘を持たず、旧軽井沢の別荘を借りて毎夏を過ごした。1988年に私が訪ねた別荘はロータリー近くにある三井財閥所有の家だった。ユーモアあふれる話を聞くうちに、純文学作家という硬いイメージは変わっていった。
堀辰雄との出会いの話は印象的だった。「学生の時、一度も会ったことのない堀辰雄から手紙が来たんです。『マンスフィールドの手紙と日記』を鎌倉の家へ持ってきてくれという内容で。びっくりして鎌倉へ行くと堀さんが『あ、僕は君に会ったことはなかったね』と言うんです」それがきっかけで師弟関係は終生続いた。
意外にも映画や放送の台本をたくさん書いている。あの大ヒット映画「モスラ」が福永武彦との共作だということにも驚いた。「たくさん書いたのはラジオの放送劇。ヨーロッパや北欧にも放送されて、全部ドルで入ってきました」。放送劇作家として国際的に活躍したのは30〜40代。
映画についての講義を母校の東大で行ったときは、おもしろさが評判となって学生以外の人も来て立見が出るほどに。中には女優の岸田今日子さんの姿もあったという。
「暮れも正月も、いつでも毎日原稿を5枚書きます。作家は毎日書かなくてはだめ」という真摯な言葉も忘れられない。「僕にとって軽井沢は精神的な価値を持つ国際的な空間なのです」。60年以上訪れている軽井沢は大きな存在だったとうなずく。
軽井沢高原文庫の中庭には館長を務めた中村さんの文学碑がある。周囲の緑が溶け込むガラスに文字が浮かび上がるその碑は驚くほど美しい。
中村さんは別荘を持たず、旧軽井沢の別荘を借りて毎夏を過ごした。1988年に私が訪ねた別荘はロータリー近くにある三井財閥所有の家だった。ユーモアあふれる話を聞くうちに、純文学作家という硬いイメージは変わっていった。
堀辰雄との出会いの話は印象的だった。「学生の時、一度も会ったことのない堀辰雄から手紙が来たんです。『マンスフィールドの手紙と日記』を鎌倉の家へ持ってきてくれという内容で。びっくりして鎌倉へ行くと堀さんが『あ、僕は君に会ったことはなかったね』と言うんです」それがきっかけで師弟関係は終生続いた。
意外にも映画や放送の台本をたくさん書いている。あの大ヒット映画「モスラ」が福永武彦との共作だということにも驚いた。「たくさん書いたのはラジオの放送劇。ヨーロッパや北欧にも放送されて、全部ドルで入ってきました」。放送劇作家として国際的に活躍したのは30〜40代。
映画についての講義を母校の東大で行ったときは、おもしろさが評判となって学生以外の人も来て立見が出るほどに。中には女優の岸田今日子さんの姿もあったという。
「暮れも正月も、いつでも毎日原稿を5枚書きます。作家は毎日書かなくてはだめ」という真摯な言葉も忘れられない。「僕にとって軽井沢は精神的な価値を持つ国際的な空間なのです」。60年以上訪れている軽井沢は大きな存在だったとうなずく。
軽井沢高原文庫の中庭には館長を務めた中村さんの文学碑がある。周囲の緑が溶け込むガラスに文字が浮かび上がるその碑は驚くほど美しい。


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