藤巻町政10年、住民有志アンケート

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渋滞緩和、自然保全に低評価
 2011年の初当選以来、今年で在任10年となる藤巻進町長。この間の町政や施策を住民の目線で評価しようと、町内の団体有志らが結成した「軽井沢アンケート調査会(※1)」によるアンケート調査が昨年11〜12月に行われた。

 アンケートでは子育て支援や福祉、自然環境、観光経済などの施策、グランドデザインや長期振興計画といった藤巻町政の方針を問う質問が並び、町民、別荘住民らから回答と意見が寄せられた(※2)。

 アンケートを実施した同調査会は「これまで住民側から評価する機会がなかったので実施したが、時期的に回収率が悪かった。様々な意見があったので、今後の町政に生かしてほしい」と話している。アンケート結果や寄せられた意見は、近く町長に提出する予定だという。

住民の意見反映させている21%
 10年間の町政で「住民の意見をどれくらい反映させているか」という質問では、「(かなり・まあ)反映させている」と思っている人が21%、「(あまり・ほとんど)反映させていない」と思っている人が60%だった。グランドデザインは、「進んでいる」と評価した人は1%、半数以上が「わからない」と回答した。グランドデザインを進めるために設置された風土フォーラムの活動は70%が「わからない」、18%が「成果が現れていない」。

緑地後退への町長発言70%反対、スポーツの町イメージ定着
 子育てや福祉、教育、環境など各政策については10点満点で評価。際立ったのは「渋滞対策」と「自然環境」「街並・景観」への低評価。この傾向は「継承すべき軽井沢らしさ」の問いにも現れている。昨年9月の町長答弁に賛同したのは5%だった。「スポーツの町」に10点を付けた人が12%あり、平昌オリンピックでのカーリングがイメージアップに貢献した。

アンケート結果の分析・意見
地域政策が専門の大河原眞美さん(高崎経済大学名誉教授)

今回のアンケートは、回答者の7割強が町民で、子育て支援や教育環境や経済政策については常住の住民の立場から藤巻町政は一定の評価はされている。しかし、町の自然保護対策には不満が大きいことがわかる。別荘所有者だけでなく町民も緑豊かな多様な植物と野鳥が生息する軽井沢の継承を望んでいる。軽井沢町は、2020年からコロナ禍でワーケーションとして大きな脚光を浴び、不動産ブームである。人口増加により緑の空間が減るのは必然というより、50年後も100年後も緑豊かな軽井沢を維持できるように、町民をもっと巻き込んで町の未来像を取り組むことを求められている。

※ 1 軽井沢アンケート調査会...町民有志を中心に、軽井沢町商工会新軽井沢支部、旧軽井沢支部、軽井沢女性会、自然景観会議、別荘団体連合会、青年会議所の有志が協力。
※ 2 アンケート用紙の配布とメール送信などにより調査。回答数 315。
問、10年を振り返り、以下の項目を10点満点で採点したその平均(小数点第2位以下を四捨五入)。
子育て支援は充実したか 5.0
教育環境は十分に整えられているか 5.0
街並、景観はよくなったか 3.5
自然環境は守られたか 3.1
文化活動は十分に活用されているか 4.1
町の商工・経済は良くなったか 4.1
高齢者福祉と医療は充実したか 4.2
オーバーツーリズムや渋滞の対策は進んだか 2.9
別荘地としてのブランドは守られているか 4.1
公共事業は適正に行われたか 4.0
観光客の誘客や対策は適正に進められたか 4.1
防災に向けた取り組みが行われたか 4.3
問、第5次軽井沢町長期振興計画の住民アンケートで「継承すべき軽井沢らしさは」の1〜5位の項目を、継承されているかどうか10点満点で採点したその平均。(小数点第2位以下を四捨五入)。
1位 緑豊かな森のイメージ 3.8
2位 多様な植物や野鳥が生息できる生態系 3.8
3位 歴史的な建造物 4.3
4位 高級な格式のある別荘文化  3.8
5位 スポーツレクリエーションの町のイメージ 5.2

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