【連載】わが軽井沢への想い ①有志に期待される別荘保存運動

 北軽井沢に山荘を建てて35年余り。以来、都下の自宅との二拠点生活を楽しむ一方、社会保障・社会福祉の研究や講義、自治体の委員などを務めているが、心はいつも軽井沢にある。そこで、「わが軽井沢への想い」と題し、本紙に寄稿させていただくことになった。

 当地に別荘がお目見えしたのは1886年、カナダ出身の英国国教会宣教師、A.C.ショーが軽井沢を訪れ、その自然に魅了されて2年後の1888年、旧軽井沢の大塚山という小高い丘に別荘を建てたことに由来する。以来、評判を聞きつけた外国人や日本の政財界や作家、画家、音楽家など、また、戦後は多くの文化人や財界関係者も別荘を建て国際的な避暑地として内外に知られるようになった。

 ただ、近年は世代交代や少子高齢化に伴って空き家同然のままとなったり、コロナ禍、ワーケーションが注目されたりして新たな持ち主や不動産業者が周囲の木々を伐採、転売したりするなどして環境破壊が懸念されるようになった。

 このようななか、三井財閥の三井三郎助や川端康成などの貴重な別荘が取り壊されたことを機に、軽井沢文化遺産保存会が2021年11月、「文化遺産別荘バンク」を設立。これら著名人らの歴史的な別荘を保存し、新たな購入者を募って次世代へつなげるために立ち上がった。今後、このような活動に不動産業者や一般住民も意気投合され、地域をあげたまちづくりへの取り組みになることを期待するとともに、自らも心したい。

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別荘の保存に立ち上がった軽井沢文化遺産保存会。右端は増渕会長、左は広川小夜子副会長。

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