屋根の葺き替え作業など目の前で 旧三笠ホテル工事現場見学会

 軽井沢町教育委員会は大規模保存修理工事が進む重要文化財「旧三笠ホテル」で工事現場見学会を開いた。参加者は屋根の葺き替えや、傷んだ木材を補修する様子などを間近に見て、設計監理を担う文化財建造物保存技術協会(東京都荒川区)の担当者の説明を聞いた。

 屋根の足場からは、天然石を薄く板状に加工したスレート(364×197mm)と呼ばれる屋根葺材を、職人が釘で取り付けていく作業を見学。28,000枚のスレートを手作業で設置すると聞き参加者の子どもは「えー、そんなに」と感心していた。

 西翼一階の部屋の4隅に、耐震のため設置した約10mの鉄骨補強フレームは、クレーンで吊って屋根の上から一本ずつ降ろした。「重量も相当あるので、骨組みに当たらないようゆっくり進めた。大変な工事でした」と担当者。

 この日、夫妻で参加した借宿の男性は「当時のものをできるだけ再利用し、修復にこだわっている姿を垣間見ることができ感動した」と話した。

 旧三笠ホテルは純西洋式木造で1905年の建築。雨漏りするなど建物の傷みが全体的に目立ち、耐震強度不足も確認され、2020年1月から建物の解体や痕跡調査などを実施。22年3月から解体部材を補修し、組み立てを行っている。工事は24年末まで続き、再開館は25年夏を予定している。

 見学会は今回で3回目。この日は3回実施し、各回とも定員20人を超える事前応募があり抽選だった。

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