亡き人の思い出をよみがえらせる お形見ベア

2108_sp_bear.JPG

2108_sp_bear02.jpg

写真:(上)島邑和之さん。(下)ご主人の命日に奥様に引き渡したお形見ベアはご主人のお気に入りだったアロハシャツにモッズコート、リーバイス501のジーンズ姿。


 インスタグラムで目にしたアロハシャツとモッズコートを着たテディベア。「お形見ベア」という見出しの投稿は、亡きご主人の愛用していたシャツやジャケットを着たテディベアの写真と、制作を依頼した奥様のエピソードが記されていた。その投稿が心に残り、お形見ベアを制作する軽井沢ベアーズを訪ねた。

 思い出の制服を再利用してテディベアに着せた「制服リメイクベア」を手掛ける軽井沢ベアーズ。これまで500種以上の制服をリメイクしてきた。オーナーの島邑和之さんによれば、お形見ベアは思いもかけず制作することになったという。「高校2年生のお嬢様を病気で亡くされたお姉様の悲しむ姿を見て、妹さんから依頼を受けたのが最初です」と話す。

 島邑さんはその女子高生が好んできていた花柄のワンピースをリメイクしベアに着せた。右の足裏には生年月日、左足裏には名前を刺繍した。それ以来お形見ベアの依頼が来るようになった。夫を亡くした母を励ましたいと内緒でオーダーを受け、それを知らずにベアを受け取りに来た母親がベアを抱えて泣き崩れたことも。これまで150体ほどを届けてきた。「実際に着ていた服をよみがえらせることで、家族愛をよみがえらせているのだと思います」と島邑さん。「お渡しは宅急便ではなく、なるべく直接お迎えに来てもらいます。家族の一員ですから」。

関連記事