軽井沢は再生エネルギー推進の町

軽井沢が見える万華鏡 №21

ph_201405_01.jpg 春を告げるコブシの花
 軽井沢の人々にとって、今年ほど春到来を待ち望んだ年はなかったのではないだろうか。大雪の影響か、春を告げるコブシの花がなかなか咲かず、「春はいつ来るの」と待ち続けていた4月。そして遅咲きのコブシのおかげで桜との美しい紅白風景を眺めることができたGW(例年はコブシが散ってから桜が咲く)。軽井沢は今、若葉と野鳥のさえずりに、ようやくいつもの高原らしさを取り戻している。

 厳しく長い冬だったが、我が家の太陽光発電は一生懸命稼働し、なんと3月は197kWも発電してくれた(パネル24枚で3.144kW)。これは昨年7月や8月よりも多い。さすがに大雪に覆われた2月は24kWしか発電できなかったが、1年間の合計は1561kW、金額にすると65,720円。冬も雪氷に閉ざされていなければ、想像以上に発電する。年間を通して晴天が多い軽井沢は太陽光発電に向いているのだ。しかも、軽井沢町は最高40万円という県内一の補助金が出るので、取り付け費用は他の町より優遇されている。
「費用を取り戻すには何年もかかるでしょ」と友人は言うが、私が太陽光発電を取り付けたのは、金銭的な問題ではない。原発事故によって明らかになった問題点や恐ろしさを知り、原発に頼ることを少しでも減らしたいと思ったからだ。自分に何ができるかを考えて太陽光発電を決めた。

「再稼働しなければ電気代がさらに上がってしまう」と、思っている人も多いようだ。しかし、本当にそうだろうか。「総括原価方式」で何もかも電気料金に乗せるというやり方は一向に改められない。止っている原発の維持管理費まで使用電気料金に含むというのは、「使った分(買った分)を払う」という商売の基本からはずれている。「夏の電力が危機」という記事を目にするが、電力が足りないなら、なぜ政府や電気業界が節電を呼びかけないのだろうか。都市部の冬は暖房が効きすぎで暑く、夏は冷房が強すぎて寒い。なんと国会議事堂はライトアップまでされている。本当のところ、政府は電力不足云々ではなく、再稼働するための道筋をつけたいだけなのではないかと思う。
 その点、軽井沢町の取り組みは優れている。原発事故のあと、直ちに「再生可能エネルギー推進の町」を宣言し、昨年末には役場の駐車場に地熱利用の融雪設備を取り付けた。今年4月の議会では「木もれ陽の里」の屋根に215Wの太陽光発電パネル478枚を設置することが決まった。寒暖差を活かした温度差エネルギーやバイオマスなども検討されている。「自然との共生」をスローガンに掲げた軽井沢町の、さらなるエネルギー問題への取り組みに期待したい。

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