軽井沢文化遺産保存会 木下裕章さん講演「避暑地・軽井沢を見出したのはアーネスト・サトウ」

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 軽井沢文化遺産保存会が10月29日に開いたトークイベントで、同会会員の木下裕章さんが講演し「軽井沢を避暑地として発見し、広めたのは英国外交官のアーネスト・サトウ」と明言した。避暑地・軽井沢の発見者は、カナダ人宣教師のアレキサンダー・クロフト・ショーという、これまでの通説に異を唱えた。

 木下さんによると、ショーが初めて軽井沢を訪れた1886年より前に、E・サトウは3回(1873、78、82年)軽井沢を訪問。73年に書いた『日本旅行日記』では、軽井沢を「ムーア」と表現し「故郷の英国に似た雰囲気」と記した。「ムーア」は、背の低い草木が群生する荒れ地・湿原のことで、英国では馴染み深い風景として知られている。ムーアの風景が広がる、1886年当時の軽井沢の俯瞰写真も紹介した。

 E・サトウは、英国マレー社が1881年に出版した、外国人向けの日本のガイドブック『中部・北部日本旅行案内』を執筆。ロンドンや横浜で大ヒットしたこの本の中で、東京や横浜などと並べ「軽井沢と浅間山」を紹介。「不快な平野部の暑さから逃れる場所としてお勧め」「手つかずのムーアが広がっている」などと軽井沢を評した。

 木下さんは「新しい史実が軽井沢の内外でどんどん掘り起こされている。整合をとって正しい歴史を伝えていくべき」と話した。

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