ボキューズ・ドール出場  戸枝忠孝シェフの挑戦②

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ボキューズ・ドール出場  戸枝忠孝シェフの挑戦①からのつづき。

ー優勝したフランスは、開催国としての熱量は感じましたか。

戸枝忠孝シェフ(以下省略):マクロン大統領がいらっしゃったり、コロナ禍の大会を成功させるために国をあげて盛り上げようという雰囲気は強く感じました。代表のシェフも「M.O.F.(国家最優秀職人章)」というすごい称号を持った方で、国の威信をかけて来ている感じはしましたし、当然作品もすばらしいものでした。あのプレッシャーの中で、よく優勝されたなと思いましたね。

ーコンクールに出るシェフは、多くの思いを背負って出場しているのですね。

ボク自身、国内大会までは自分のために出ていましたけど、そこから先は全く違います。スポンサーの方や、応援してくれた多くの方の思いもありますし、支えられて出る大会だなと思いました。その場にいるのは、ボクとアシスタントとコーチですけど、その後ろにはものすごいサポートがありました。しかもコロナ禍で大変な時期に...それは感謝しかないですよね。

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ー歴代の日本代表のなかでは、最も小さいレストランのシェフでした。個人店で出る難しさはどういった部分ですか。

ホテルや大きな企業は従業員も大勢いるので、本人がいなくてもお店は営業できます。妻と2人でやっているボクらのような店だと、どうしても長期休業しないといけない。ボキューズ・ドールに出たい個人のレストランはいっぱいあると思うし、それに見合った技術を持っている人もたくさんいる。できれば大きなスポンサーが沢山ついてくれて、休業補償も出しつつ、大会に臨める資金があるとすごくいいと思いますね。

ーこれまで日本が表彰台に上がったのは、2013年の浜田シェフ1人。上位に食い込んで行くには、何が必要でしょう。

積み重ねた経験を伝えていくことだと思います。1人が終わったら次の代表シェフが1から考えるのではなく、データを引き継いでいかないと勝てない。浜田さんの経験を聞いて、ボクもすごい勉強になりましたし、言われないと気付かなかったことがいっぱいあった。今回は新しい試みもいっぱいしたので、このデータを次の方に伝えていきたい。

ーボキューズ・ドールの経験を、自身のレストランへどう生かしていきますか。

貴重な経験をして価値観も変わりましたし、世界トップレベルの技術を間近で見て刺激になったので、がらっと変わるんだろうな、というのはあります。吸収したものを料理に落とし込んでいきたいと思います。

ーレストランの再開は、11月1日からですか。

5月の連休明けから休みに入っていたので、半年ぶりですね。こういう経験をしたのでワンランク上のレストランとして再開して、来年2月はお休みし、さらにステップアップして3月からは装いも新たにスタートしようと思います。料理って面白いなと改めて思ったので、自分の料理をもっと突き詰めたいですね。

ーボキューズ・ドールで提供した料理は、レストランで食べられますか。

そういう声をたくさん頂いているので、12、1月はボキューズ・ドールで出した料理を入れた特別コースを味わって頂きたいと思います。普段の料理との味付けの違いも、感じてもらいたいですね。

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ーコンクールの料理とお店の料理の違いはどんなところですか。

コンクールは2日間あって、審査員は一日12カ国分の料理を試食するので、ちょうどいい味にしちゃうと、ほわんとして埋もれちゃう。一個の小さい付け合わせでも、一口の中に旨味と塩味と、個性をガッと出さないといけない違いはありますね。

ーボキューズ・ドールに再挑戦したい思いはありますか。

年も年ですし、今回これが最後と思って挑戦しましたけど、表彰式の終わったあとは悔しくて、また出たいと思いました。そうは言っても、これだけ休んできたし、この春には子どもも生まれたので、しっかり稼がないと、うちの奥さんも許してくれないかなと...。さすがに次は出ませんが、出られる余裕があればチャレンジしてみたい気持ちはあります。そうでなくても、次の世代が表彰台に上がれるよう、サポートできればなと思っています。

(終わり)

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