議会ウォッチャーの3月メモ(最終回)
去る2月18日、市村守議員が75歳で逝去されました。2011年4月の初当選以来、4期14年余にわたり町政に尽力されました。体調と向き合いながら議席を守られた歳月でした。心より哀悼の意を表します。
3月会議は予算会議です。令和8年度当初予算は一般会計208億9千万円。前年度を4.9%上回り、3年連続で過去最高を更新しました。令和5年度に157
億円台であった規模は、数年で大きく拡大しています。数字の伸びだけを見れば膨張と映るかもしれませんが、その背景には建設費や資材価格の高騰、物価上昇といった時代の要因があります。
令和7年度は西部小学校増築や旧三笠ホテル防災活用施設整備が最終年度を迎えました。令和8年度は新庁舎周辺整備事業が本格化します。実施設計4億2千万円、関連道路舗装、予定地整理のための解体工事2億6千万円。総事業費は127億円へ上方修正されました。将来を見据えた基盤整備には一定の覚悟が必要です。
軽井沢は住民票上の人口約2万2千人の町ですが、別荘居住者を含めれば実態はその倍に及び、観光シーズンにはさらに多くの人を迎えます。医療、上下水道、交通、公共施設----求められる水準は小規模自治体の枠を超えています。しなの鉄道でのSuica利用開始など未来志向の施策も動き始めていますが、その裏側で沿線自治体が負担を分かち合っていることも忘れてはなりません。
デマンド交通の議論は平成21年頃から続いています。調査、視察、検討、委員会提言----段階は積み重ねられてきました。よぶのる軽井沢の実証実験も行われましたが、採算性の課題から事業者が撤退し、現在は登録制デマンドタクシーが中心です。登録者数は増加しているものの、町全体の移動課題を支える基盤政策と呼ぶには規模が限定的です。高齢化が進む中で、交通政策を"検討と実験"の段階から"持続可能な制度設計"へ移行できるかが問われています。
軽井沢病院事業会計への繰出金は12億6千万円。公立病院の経営は全国的に厳しい状況ですが、この町の実情を考えれば、その存在は欠かせません。課題を抱えつつも、守るべき基盤です。
一方で、拡大が続く今だからこそ、静かに問い直すべき分野もあります。寄付金受入事務委託費や駅施設の指定管理費など、一定期間を経て定着してきた仕組みが、現在の規模や環境に照らして妥当なのか。前例踏襲になっていないか。費用対効果や透明性を丁寧に検証する姿勢こそ、成熟した自治体に求められるものです。
これからの軽井沢は、「どれだけ増やすか」よりも、「どう質を高めるか」の段階に入ります。拡大の先にあるのは、運営の質、説明の質、そして信頼の質です。
2023年6月号から今号まで、計31本。議会ウォッチャーをお読みいただき、ありがとうございました。今号が紙面での最後の執筆となります。
立場が変わっても、町政を見つめる視点は変わりません。これからも「noteあかい信夫」にて発信を続けてまいります。引き続き、軽井沢のこれからをともに考えていただければ幸いです。(文・赤井信夫)




