「アンパンマン誕生の背景に戦争体験」やなせたかしさん担当の編集者語る

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 ペイネ美術館は6月8日、「アンパンマン」シリーズの出版元「フレーベル館」の編集者、天野誠さんのトークショーを軽井沢タリアセンのレストラン湖水で開いた。アンパンマンの作者、やなせたかしさんとの思い出や創作にまつわる話を語った。

 天野さんは、やなせさんの生い立ちにふれ、アンパンマンが生まれた経緯を紹介。日本陸軍として日中戦争に出征したやなせさんは終戦後、日本に戻ってから弟が戦死していたことを知る。「戦争の愚かさ、飢えることの辛さを身にしみて感じ、それがのちに、アンパンマンを創作するベースになった」。

 東日本大震災後、やなせさんは被災地にアンパンマンのポスターを配ったり、岩手県陸前高田市に一本松をモチーフにしたハンカチやCDなどのグッズを制作し版権ごと寄付するなど、精力的に活動した。「被災地で『アンパンマンのマーチ』が力を与えていると知り、嬉しかったのだと思う」と天野さん。

 晩年、入退院を繰り返したやなせさんだが「入院中でも病室で仕事をして、締切に遅れたことは一度もなかった。94歳で亡くなる最後の最後まで現役そのもの」と明かした。

 講演を聞いた東京都の男性は「震災で困っている人を勇気づけるやなせさんに、アンパンマンが重なった。これからも作品は多くの人を元気にしてくれると思う」と話していた。

 ペイネ美術館は7月22日まで「やなせたかしとレイモン・ペイネ」展を開催中。やなせさんの原画作品約30点と、やなせさんがファンだったペイネの作品も合わせて展示している。問い合わせはペイネ美術館(TEL0267-46-6161)まで。

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