議会ウォッチャーの7月メモ
7月20日に参議院選挙が行われる。どの候補者や政党に一票を投じるかは、わたしたちが国の未来を左右する選択を迫られているということである。
朝日新聞社の調査によれば、「政治や選挙に関するSNSや動画サイトの情報を重視する」と答えた人は全体で27%。30代以下では4割以上、30代男性は約半数にのぼった。40代以上でも約4割が重視しているという。
SNSの情報は手軽で身近だが、その発信者の意図や背景まで意識している人は多くはないだろう。人は無意識のうちに「自分にとって都合のよい情報」ばかりを拾い、「苦手な相手」の言動には厳しくなる傾向がある。これが「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏り)」である。
さらに、「見た目が好印象だから話す内容も信用できる」といった"ハロー効果"もその一例である。逆に、嫌いという印象だけで相手をすべて否定してしまう"ホーン効果"もある。印象や感情が判断を左右してしまえば、本来注目すべき事実を見落としかねない。
こうしたバイアスが働いていると、情報を集めているつもりでも、実際にはごく一部に偏ってしまう。特にSNSでは、自分と似た考えの投稿が集まりやすく、意見が反響しあう閉じた空間(エコーチェンバー)が生まれやすい。この仕組みを理解しておくことが、正しい判断の出発点となる。
では、どうすれば偏りを避け、冷静な判断ができるだろうか。次の三点を心がけたい。
1、情報源を分散すること。SNSに加えて、新聞・テレビ・政党や候補者の公式サイト、選挙公報なども確認する。
2、中立的な選挙情報サイトを活用すること。「選挙ドットコム」や「ボートマッチ」は、質問に答えることで自分に近い政策や政党を見つける手助けをしてくれる。若い世代や初めて投票する人にもおすすめだ。
3、思考のくせに気づくこと。よく見かける投稿が「多数派」だと思い込んだり、発言の一部だけを切り取った情報を信じてしまったりしていないか。矛盾やごまかし、デマなど、不自然な印象がないかを自分で確かめることも大切だ。
これは蛇足だが、参議院選挙の白色の投票用紙(比例代表)には、党名ではなく候補者の名前を書くこともできる。これはおすすめだが、今回の比例代表候補者名以外を書くと無効になるので注意が必要だ。
誰を選ぶかは、印象や感情に流されるのではなく、複数の視点と客観的な事実をもとに判断されるべきである。それが、未来を選択する有権者の責任でもある。
投票とは、自分の考えを社会に示す行為である。だからこそ、自分の中にある偏りや思い込みに気づき、できるだけ正確に情報を受け止める姿勢が求められる。いま目の前にある「一票」を、未来につながる確かな選択にしてほしい。(文・赤井信夫)




