【軽井沢新聞11月号】議会ウォッチャーの12月メモ
町議会12月会議が4日から再開した。21議案他が提出され、18日の閉会をもって本年の通年議会は終わる。年の瀬の議会は、町政の総括だけでなく、翌年度以降の方向性が輪郭を帯びる重要な場でもある。10日には議案質疑と付託が行われ、以降の詳細審議は所管の各委員会で順次取り扱われる予定で、発地市庭の指定管理者については、15日の総務常任委員会での議論が見込まれている。
4日の本会議後には全員協議会が開かれ、令和8年度から10年度までの実施計画が説明された。実施計画はいわば「中期の投資計画」にあたり、翌年度予算の土台として全体像を示す役割がある。庁舎改築周辺整備事業として約63億円が計上され、いよいよ実施設計へと進む節目となる。また、軽井沢病院関係は3年間で約28億円とされ、これは一般会計からの繰出し金とほぼ一致する。病院は「経営強化プラン」に基づき経営改善に取り組んでいるものの、安定運営のためには当面、町の支援が必要な状況にある。医療提供体制を地域でどう維持していくか、今後も注視が求められる。
一方、住民生活に直結する重要なテーマとして、「軽井沢町地域公共交通計画(案)」のパブリックコメントが5日から始まっている。募集は年明け1月4日まで。計画案は分量が多いが、これからの5年間の交通計画を方向づける大切な内容だ。高齢化地域での移動手段確保、観光期の混雑対応、2次交通のあり方など、生活と観光が交錯する軽井沢ならではの課題が示されている。公共交通は住民の「足」をどう守るかという行政姿勢が最も表れやすい分野であり、利用者の声が反映されなければ実効性を欠くおそれがある。ぜひ多くの町民・住民の皆さんに目を通していただき、それぞれの生活実感に基づく意見を届けていただきたい。
今回の議案の中で注目される指定管理者の選定では、発地市庭において、審査員の協議がまとまらず、最終的に「多数決」でフードサービスシンワが選定されたとの答弁があった。他方、同じく2者競争となった「さわやかハット」では、合計点の高い事業者がそのまま選定されている。こうした判断方法の違いが生じた背景には、審査プロセスが個々の審査員の価値判断に大きく依存する制度構造がある。発地市庭は地元農業を支える拠点でもあり、生産者の視点を評価項目にどう反映させるかも含め、今回の選定を契機に、制度そのものの透明性や評価軸の明確化について、今後あらためて検討が進むことを期待したい。
大規模事業から身近な交通まで、町政の方向性がかたちを現し始めている。通年議会が終わるこの時期だからこそ、町民が主体的に関われる環境づくりを進めていきたいものである。(文・赤井信夫)




