軽井沢の画家と写真家、時を超えてコラボ

 軽井沢の草花を描き続けた画家石川功一(1937〜2007)さんの作品を展示する小さな美術館軽井沢草花館で「軽井沢の花と蝶」展を開催している。石川さんの描いた草花スケッチとともに、その草花を食草や吸蜜源とする蝶の写真を並べて展示。蝶の写真は、軽井沢町のネイチャーフォトグラファー栗岩竜雄さんが撮影したものだ。

 蝶の写真・エッセイをまとめた栗岩さんの書籍「軽井沢の蝶(1/20000の視点)」(ほおずき書籍)の読者が、草花館を訪ね栗岩さんとのコラボを提案。同館が栗岩さんに話を持ちかけると「蝶の観察を始めて50年目で、何かしようと思っていたところ」と栗岩さんが快く引き受けた。

水彩の草花と繋がりのある蝶の写真展示

 水彩スケッチと写真を合わせて常時約70作品を紹介し、作品ごとに、栗岩さんの解説文を載せた。アザミの水彩画には、アザミの蜜を吸うヤマキチョウの写真を並べて展示。アザミの蜜を吸う蝶はたくさんいるが「ヤマキチョウは高原を代表する草原性の蝶。絶滅危惧種の一種で、目にする機会が減っている。メッセージ性も意識して写真を選んだ」と栗岩さん。

 同じ年月日に描かれた草花スケッチと、撮影された蝶の写真を並べた展示もある。生前の石川さんと栗岩さんに面識はなかったが、記録を辿ると、わかっているだけで計62日、同じ年月日にそれぞれ作品を残しているという。

 石川さんの息子で、同館館長の寛さんは「父は軽井沢に焦点を絞って、昔から自生している花を描いてきた。厳密に軽井沢の蝶にこだわりを持っている栗岩さんとは共通している」。栗岩さんは「人や土地、自然、生き物たちの縁が色々重なって実現できた展示。感慨深い」と話した。

 展示は11 月19日までで、季節に合わせた作品と定期的に入れ替える。入館料500円。7月22日には、栗岩さんが展示作品を解説するお話し会を行う。15〜16時半。TEL0267-42-0716 

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栗岩竜雄さん(右)と石川寛館長(左)。コオニユリの水彩スケッチと、コオニユリの蜜を吸うアゲハの写真の前で。

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