120年前の浴槽か 改修工事中の旧三笠ホテル敷地から遺構見つかる
軽井沢町は4月24日の全員協議会で、国重要文化財・旧三笠ホテルの敷地から、1905年のホテル建築当時の浴槽と見られる遺構が出土したことを発表した。施設を管理する町教委生涯学習課は「(74年に)曳き家する前の建物の位置や、当時の施工方法を示す貴重な資料」と、遺構保護の考えを示した。
発見された遺構を北側から撮影した写真。(提供:軽井沢町教育委員会)
旧三笠ホテルは1970年に閉業。日本長期信用銀行買収後の74年、曳き家で現在の場所に北へ約50m移動している。閉業当時の平面図や曳き家計画図から、出土したのは移動前まであった浴室棟北西端の浴槽と推測した。
見つかった浴槽は全部で3据え。1据えのサイズは縦横約2.2㍍x約1.1㍍で、高さは約0.5m。赤煉瓦を積み上げたもので、浴槽内の側面や底部には釉薬を塗ってあったという。
旧三笠ホテルは2019年12月末から休館し、大規模な保存修理中。3月17日、通路の舗装のためホテル中央の正面付近で地面を掘削したところ、地中から遺構の一部が出土したという。
すでに専門家の調査や意見聴取を終え、現在は遺構を砂で覆って不透水シートを被せ、さらに土と浅間砂利を敷いて埋め戻し保護している。舗装を取りやめ、庭園の一部として、看板を設置するなどして、遺構があったことを周知するという。
旧三笠ホテルの開館は今秋を予定。遺構発見の影響による開館の遅れは生じないという。