星野リゾートの星野佳路代表、宿泊税について言及 「条件付き賛成で、このままだと反対」
国内外でホテルや旅館など71施設を運営する、星野リゾート(本社:軽井沢町)の星野佳路代表は、全国各地で導入が進む「宿泊税」について、「条件付き賛成で、このままだと反対」と述べた。4月22日に開いた、同社のオンライン発表会で、観光トピックスの一つとして取り上げ、持論を展開した。
宿泊税について語る星野佳路代表(右)。(オンライン発表会をキャプチャ)
宿泊税は長野県や軽井沢町でも、観光振興の新たな財源として、2026年6月の導入を目指し準備を進めている。
負担するのは結局「旅行者ではなく、観光事業者」
星野代表によると、宿泊税導入で旅行者の負担が増えると「需要が必ず落ちる」。すると、宿泊税を含めて元の値段を維持しようとするため「結局は観光事業に携わっている人たちが負担することになる」。
観光事業者の負担増を前提にし、賛成する「条件」として<観光地のプロモーションのため、集めた税金を効果的に、戦略的に使ってもらう体制が整っていること>を挙げた。
ただ「今のままでは、DMO(※1)にしても各自治体にしても、効果的に使う体制になっていない。お金を集めただけで、観光振興の戦略的な投資にならないのではないか」とした。
海外のDMOなどでは、外から連れてきた優秀な経営者をトップに据え、成功している事例もあるとし「KPI(※2)を設定し、達成できなければ交代という仕組みにすれば、機能する可能性は高い」。また、導入するのであれば、どういう体制でどんなことに宿泊税が使われているか、しっかり見守っていくことの重要性についても説いた。
※1 DMO
「Destination Marketing/Management Organization」の略。官民連携で観光地域づくりを行う法人のこと。3月25日時点で、観光庁への登録は323件。
※2 KPI
「Key Performance Indicator」の略。最終目標を達成するプロセスを、数値で評価する指標のこと。