「命大切に」軽井沢スキーバス転落事故の遺族会、軽井沢高校で講演 事故からまもなく10年

 軽井沢高校は107日、大学生ら15人が死亡した軽井沢スキーバス転落事故の遺族会「115サクラソウの会」による講演会を開いた。町内で起きた事故の風化を防ぎ、命の大切さを考えるきっかけにしてほしいと初めて企画。生徒や一般参加を含め、167人が遺族の話に耳を傾けた。

 同校生徒会役員は毎年、事故発生日に現場の祈りの碑に献花を続けていてる。遺族会は亡くなった子どもの年齢に近い地元の学生らに、事故のことを知ってほしいと協力を申し出ていて、同校側が講演を依頼。町教育委員会が日程などを調整した。

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 遺族会の会長で次男の寛(かん)さん(当時19歳)を亡くした田原義則さんと妻の由起子さん、長男の陸人さん(当時19歳)を失った父の大谷慶彦さんが登壇。子どもとの思い出や事故当日のこと、現在の心境などについて語った。

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 義則さんは事故当日を振り返り、テレビのニュースで見たバス事故に、寛さんが乗っていたと知り「奈落の底に落とされる気持ちだった」。事故の4日前に撮ったという、成人式当日の寛さんの写真をスクリーンに投影し、由起子さんは「今でも息子の命を奪ったバス会社が許せない。2度とあんなことがあってはならない」と悔しさを噛みしめた。

 また、信号のない横断歩道の車の一時停止率で、長野県が全国1位であることに触れ、義則さんは「交通安全の意識が高い長野県の若いみなさんから、交通安全を発信しほしい」と呼びかけた。

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 大谷さんは「事故から10年を迎えようとしている今も思いは一つ。陸人にまた会いたい」。最後には「命は大切にしてください。どうすれば事故に遭わないか、自分ごととして考えてください」と生徒らにメッセージを送った。

 今年1月に事故現場で献花した同校生徒会長で2年の杉浦こころさんは「遺族の方がどういう気持ちで過ごしているのか知ることができた。これからもより一層、交通安全について考えようと思った」と話した。

軽井沢スキーバス転落事故
乗員、乗客41人を乗せ、長野県斑尾高原スキー場へ向かっていた大型貸切バスが、2016年1月15日1時50分ごろ、国道18号碓氷バイパスの下り坂でカーブを曲がりきれず、ガードレールをなぎ倒し道路脇に転落。乗員・乗客15人が死亡し、26人が重軽傷を負った。

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