軽井沢スキーバス事故から10年 遺族らが現場で祈り、再発防止誓う

 大学生13人と乗員2人の計15人が死亡し、26人が重軽傷を負った軽井沢スキーバス転落事故は、115日で発生から10年を迎えた。被害者遺族有志で作る「1.15サクラソウの会」が、事故現場に建立した「祈りの碑」には、遺族をはじめ関係機関の関係者らが訪れ、花を手向けた。

250116_01.JPG写真=祈りの碑に献花後、黙祷を捧げる遺族や関係機関の参列者。

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1.15サクラソウの会」代表で、事故により次男の寛(かん)さん(当時19、首都大東京2年)を亡くした田原義則さんは、10年間にわたる再発防止の取り組みを振り返り「なんとかやってこられたのは、息子が背中を押してくれたおかげ。これからも(活動を)続けていくことを約束をした語った。

 長男の陸人さん(当時19、東京農工大1年)を亡くした大谷慶彦さんは、陸人さんの形見のコートを着て慰霊に臨んだ。近く弟が結婚することを報告し、「披露宴には陸人の席も用意しようかと話している」と語った。本来であれば今年30歳を迎えるはずだった陸人さんについて、「一緒に過ごした思い出とともに、30歳になった姿を勝手に思い描いている」と静かに話した。

 娘の衣里さん(当時19、東海大1年)を亡くした池田彰さんは、「10年間会えなかったね、会っていないね」と祈りの碑に語りかけたという。「成長をまったく見られていないことが本当につらい。私の中では、当時の絵里がずっと生きている」と言葉を詰まらせた。

 事故をめぐっては、2023年6月、長野地裁が業務上過失致死傷の罪に問われたバス運行会社の社長に禁錮3年、当時の運行管理者に禁錮4年の実刑判決を言い渡した。2人は無罪を主張して控訴し、東京高裁で審理が続いている。

 2人が「事故を予見できなかった」と主張していることについて、池田さんは、「社長、運行管理者という立場を考えたら、予見は『できなかった』ではなく、『しなければならなかった』。そこには怒りのような感情がある語った。

1月15日を安全運行の「誓いの日」に 風化防止の研修動画制作へ

 この日は、「1.15サクラソウの会」主催による6回目の「安全安心なバス運行を誓う集い」も開かれ、関係機関の担当者らが軽井沢町役場に集まった。事故の再発防止や教訓の風化を防ぐため、意見交換が行われた。

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写真=「安全安心なバス運行を誓う集い」の冒頭であいさつする、被害者遺族有志「1.15サクラソウの会」の田原代表。

 意見交換は冒頭を除き非公開で実施。国土交通省によると、遺族側からは、大型二種免許更新時の基準引き上げや、若い世代への普及啓発、事故の風化防止に向けた取り組み強化などの意見が出されたという。同省は、事故の教訓を伝えるため、来年度にバス事業者などに向けた研修用動画の制作に取り組む方針を示した。

 また日本バス協会は、安全運行への決意を新たにするため、毎年1月15日を「誓いの日」と位置付けることを表明した。集い後の取材に、清水一郎会長は「バス業界一丸となって、このような事故を二度と起こさないよう、強い決意で取り組んでいく」と述べた。全国的なバス運転手不足については「人への投資や賃金の引き上げを含め、継続的に取り組んでいかなければならない」との認識を示した。

【軽井沢スキーバス転落事故】
2016年1月15日午前1時50分ごろ、乗客・乗員41人を乗せ、長野県斑尾高原スキー場へ向かっていた大型貸切バスが、国道18号碓氷バイパスの下り坂でカーブを曲がりきれず、ガードレールをなぎ倒し道路脇に転落。15人が死亡し、26人が重軽傷を負った。

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写真=転落した際に横転し、木にぶつかった衝撃で車体は「く」の字に折れ曲がった。(2016年1月15日午前9時50分撮影)

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