【お店の履歴書】三たての味と心を、受け継いで「信州そば処・きりさと」
挽きたて、打ちたて、ゆでたて。1995年、創業者の小山みち子さんはこの「三たて」を基底に店を開いた。その日に打つそばの分だけ、その日に石臼で挽く。挽く時の熱がそば粉に伝わり風味を損なわないよう、石臼をゆっくり回すことにも注力した。
(プリンス通りに面した店舗にはゆったりしたテラス席。冬はストーブを出している。)
開店当初は来店客も多くなかったが「お客様一人ひとりに対して、丁寧に真摯に対応する姿が印象的でした」と話すのは、小山さんの甥で現在店長として店を切り盛りする和田拓也さん。高校生の頃にアルバイトをしていた和田さんは、当時から小山さんの人柄を目にしていた。その頃はまだ駐車場も少なく、テラス席もない。「車での来店が増えたので駐車場を拡張し、ペット連れのお客様が増えてテラス席を増築したようです」。自身もペットと共に生活している小山さんならではのアイデアだった。
和田さんが店に入ったのは13年ほど前。約8年前から店長を務めている。昨年小山さんが引退したタイミングで娘の福士明子さんが2代目社長に就任。小山さんの息子が代表を務める小諸の老舗、山吹(山吹味噌)のグループ会社となった。「今までも季節限定メニューなど展開してきましたが、今後はお味噌を使ったメニューも考えていきたい」と和田さん。「三たて」を受け継ぎながら、新しい色を出すことにも意欲的に取り組んでいる。
(テーブル席と座敷の両方があり、レジ前では様々な商品も販売している。)