遠藤波津子グループ代表取締役社長 遠藤 彬 さん

ph_201508_01.jpg 遠藤 彬 さん
ヘア&メイク、エステ、婚礼、衣装を柱に、女性の美を総合的に演出する遠藤波津子グループで、1993年から代表取締役社長を務める。初代遠藤波津子が1905年、「素肌から美しく」と、アメリカ式の近代エステ「美顔術」を取り入れた理容館を銀座で開業し、今年で110周年を迎える。「その日、向かい合う人を心より美しく」「文化の薫りを尊び、本物を志向する」という、初代から受け継ぐ2つの教えは、就業中の全社員が携帯するクレドカードの目立つ場所に明記してある。
「一生に一度のことですので、花嫁衣裳は本物をお召しになっていただきたい。女性の美をいかに素晴らしく演出できるか、ずっと追求していきたいですね」
四代目の遠藤波津子さん(彬さんの母、2009年逝去)は1959年、皇太子殿下のご成婚に際し、美智子妃殿下の美容担当を拝命され、婚礼の支度を担当した。 「皇居にほど近い東京會舘のサロンで、十二単にお慣れいただくためのご試着を重ねたり、入念にリハーサルを行ったようです。母にとっては、命がけの体験だったと思います」
 その頃から、皇室関係者や夏を軽井沢で過ごす顧客のため、旧軽井沢に出張店を開設(1987年から万平ホテル内に移転)。父母に連れられ、学生の頃から軽井沢はよく訪れた。 「雲場池近くの雅叙園ホテルにジャックポットがあって、友人とよく遊びました。三笠ホテルの『さよならパーティー』に行くと、今年も夏が終わるな、と感じたものです」
東京・銀座の地元組織である銀座通連合会理事長(2003~08年)を務めるなど、地域のまちづくりにも関わる。2003年、銀座通りに200m近いビルを建てる構想が持ち上がると、専門家を交えたシンポジウムを開くなど検討を重ね、街の総意として計画に反対し白紙に。昭和通りより西では56m以上の建物を建設できない「銀座ルール」も作った。現在は、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、銀座をより魅力的にしようと、昨年開設された対応委員会「G2020」の委員長を務める。
 「歩いて楽しいのが銀座の魅力。お世話になった分、銀座には恩返ししたいという気持ちが常にある」
軽井沢の別荘滞在中は、仲間とのゴルフが楽しみ。「もう72歳なんで、腕は落ちているけど」と穏やかな笑みを浮かべ、日焼けした顔に白い歯をのぞかせた。

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