青山学院大学総合文化政策学部教授 井口 典夫 さん

1810_hitomonogatari.jpg 軽井沢駅周辺を大学院等の誘致でクリエイティブ拠点に
軽井沢駅周辺を大学院等の誘致でクリエイティブ拠点に

 青山学院大学の恵まれた立地を生かし、「渋谷・青山・原宿の都市文化を前面に出した学部を新設すれば、他大学にはない魅力を打ち出せる」と2008年、総合文化政策学部の新設に尽力した。学生と一緒にイベントやNHKなどTV番組の制作に協力している。2017年11月、国内の大学初となるインターネットTV局「青学TV」を開局。編集室長として、学生らが企画、取材、撮影した動画をほぼ毎日、配信している。

 「学校の広報に見えて、実は青学関係の有名人も登場するエンタメ番組。大学がメディア産業になってもいいと思うんです」

 「NPO渋谷・青山景観整備機構(SALF)」の理事長として、青山通りや原宿と渋谷を結ぶ遊歩道、キャットストリートの改修計画にも関わる。渋谷駅の連絡通路に芸術家、岡本太郎の大壁画『明日の神話』を招致し、魅力的な街並みづくりのルールを定めた「青山通り街並み協定書」も策定した。

 「世界に誇れる日本の顔として、青山通りをパリのシャンゼリゼとも肩を並べる商業街路にすることを目指しています」

 幼少期から夏を過ごしてきた軽井沢のまちづくりについても、アイデアを発信。各分野で要職につく別荘住民らからなる「国際文化都市整備機構」メンバーと、毎夏議論を深めている。軽井沢駅周辺に、大学院大学や関連産業の誘致案も打ち出した。

 「クリエイティブな高等教育を受けた若者が、その能力を軽井沢のエリアで発揮できる状況を作ってあげないといけない。社会経験を積んだ人にとっては、学び直しの場にもなる」

 軽井沢の長年の懸案である、繁忙期の交通渋滞解消についても持論を展開する。

「例えば、離山の下を抜ける車道用のトンネルを掘るとか、プリンス通りの下にもう一本地下トンネルを掘る。それだけで、交通の便はかなりよくなる」

 1956年生まれ。1964年の東京五輪を契機に、生まれ育った渋谷・青山周辺が変貌していくのを目の当たりにした。「東京2020大会」は64年に比べ「歴史的な重さはない」としつつも、「キャッシュレス社会の構築、LGBTに対する理解など、社会的な意味で、日本が第一の先進国になれているか自己点検するきっかけになればいいと思う」。

関連記事