環境ジャーナリスト 幸田 シャーミンさん

ph_201412_01.jpg 幸田シャーミンさん
テレビのニュースキャスターをしていた1980年代後半、外国の通信社から届いた短いニュースの中に「global warming(地球温暖化)」の言葉を目にした。「もし本当だったら大変なこと」と、外国から関連資料を取り寄せ読み耽った。
「そこで初めて、グローバルな規模で様々な環境問題が起こっていることを知り、ライフワークとして取り組もうと思いました」。
 国際環境政策などを学ぶため、キャスターを辞めハーバード大学ケネディスクールへ留学した。帰国後は、環境の分野で活躍する国内外数々の専門家をインタビューするなど活動。現在は「ドイツのエネルギー政策の転換」をテーマに、東京大学大学院で博士論文を書いている。ドイツは2050年までに、自然エネルギーの占める割合を総発電量の80%まで引き上げる方針を打ち出した。政府や企業の関係者、一般市民らを取材し、なぜ政策転換できたのか調査すると、個々の意識の高さが関係していることがわかった。 「おかしいと思ったことには声を発する、という意識共有ができている。それも、ただ反対するのではなく、問題解決に何が必要か各々が考え行動している」
 さらに、日本のエネルギー問題については「様々な側面から考えても、再生可能エネルギーへの転換が必要なのは間違いない。進めるスピードと割合をどうするか、どんな社会を目指すのか、市民一人ひとりが考えないといけない」と話した。
 軽井沢に別荘を建ててもうすぐ30年になる。年を経るごとに軽井沢で過ごす時間が長くなり、年間滞在時間が東京を上回る年もある。愛する2匹のヨークシャテリア(写真左:メスのアンナ、右:オスのポパイ)と朝の1時間の散歩が日課だ。
 座右の銘は、ハーバード大の恩師に教わった<The only way out is through>。難局から抜け出すには、後ろでも横でもなく、真っすぐ前に進むしかない、という意。
「難しい問題にぶつかっても、避けて通らずに、正面から向き合うようにしています」
 2年前の冬、別荘近くの小山を散歩中、2頭のイノシシにばったり遭遇。愛犬のポパイが、イノシシに向かって、吠えながら走り寄っていった。噛まれて振り回されるなど、返り討ちにあったが、噛まれた場所が毛の部分だったこともあり、奇跡的に無傷。逃げずに困難に立ち向かうその姿は、飼い主譲りに違いない。

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