



今春、語り下ろしの自伝を刊行 ペトロ岐部を描いた小説を執筆中
作家・精神科医 加賀乙彦 さん

二・二六事件の記憶、家の空気が一変した母の不倫、死刑囚・正田昭との交流、キリスト教徒になった経緯――。80余年の歩みを語り下ろした『加賀乙彦自伝』を3月に刊行した。
「四半世紀かけ、自分がモデルの小説『永遠の都』『雲の都』を書いてきましたが、あくまでフィクション。誤解されていた部分もあったので、それを分かってもらいたかった」
1974年、追分に別荘を建ててからは、執筆のため年間を通じて軽井沢へ。東京でも軽井沢でも、毎朝1万歩の散歩が日課だ。
「同じ歩数でも、軽井沢の1万歩は、小鳥が朝早くからた くさん鳴いて、風のささやきも気持ちいいですね。執筆のスピードも格段に上がります」
かつては、作家の遠藤周作や北杜夫、劇作家の矢代静一らと、夏の軽井沢でよく宴を開いた。
「北杜夫が鬱になるとみんなで励ましてね。躁のときは、逆に北杜夫がみんなを励ますんです。非常に面白い集まりでした」
1998年より軽井沢高原文庫の館長を務める。今夏は、死刑囚の正田昭(1929-69年)が刑執行の直前まで綴った、文通相手の女性への手紙を朗読するイベントを企画。加賀さんも正田と3年間文通を続け、彼をモデルにした小説『宣告』も発表した。
「私への手紙は、言葉づかいが丁寧で、文学や神学についての考えが、真面目に綴られているのですが、女性に対しては言葉がくだけ、ユーモラスな青年という印象です」
精神科医として、今でも白衣に腕を通す。都内の精神科病院へ月2回は出向き、50人ほどの患者を診察する。自身はそろそろ辞め時と考えるが、患者からは引き止められている。
「『先生、私より先に死んじゃだめよ』とかね。皆さん僕に診てもらいたい気持ちが強いようです」
今年84歳。執筆のため、毎日4時間はパソコンへ向かう。日本人として初めてエルサレムを訪問したイエズス会司祭、ペトロ岐部(1587-1639年)の生涯を追う長編小説を執筆中だ。
「今の多くの日本人は、彼の強い生き方にびっくりするでしょう。かれこれ10年、1千枚近く書いていますが、完成はまだ先になりそうです」
夏の間はずっと軽井沢に滞在し、診察のある日だけ東京へ戻る。森に囲まれた山荘で、鳥の声を聞き、風を感じ、執筆に勤しむ夏が始まる。
「四半世紀かけ、自分がモデルの小説『永遠の都』『雲の都』を書いてきましたが、あくまでフィクション。誤解されていた部分もあったので、それを分かってもらいたかった」
1974年、追分に別荘を建ててからは、執筆のため年間を通じて軽井沢へ。東京でも軽井沢でも、毎朝1万歩の散歩が日課だ。
「同じ歩数でも、軽井沢の1万歩は、小鳥が朝早くからた くさん鳴いて、風のささやきも気持ちいいですね。執筆のスピードも格段に上がります」
かつては、作家の遠藤周作や北杜夫、劇作家の矢代静一らと、夏の軽井沢でよく宴を開いた。
「北杜夫が鬱になるとみんなで励ましてね。躁のときは、逆に北杜夫がみんなを励ますんです。非常に面白い集まりでした」
1998年より軽井沢高原文庫の館長を務める。今夏は、死刑囚の正田昭(1929-69年)が刑執行の直前まで綴った、文通相手の女性への手紙を朗読するイベントを企画。加賀さんも正田と3年間文通を続け、彼をモデルにした小説『宣告』も発表した。
「私への手紙は、言葉づかいが丁寧で、文学や神学についての考えが、真面目に綴られているのですが、女性に対しては言葉がくだけ、ユーモラスな青年という印象です」
精神科医として、今でも白衣に腕を通す。都内の精神科病院へ月2回は出向き、50人ほどの患者を診察する。自身はそろそろ辞め時と考えるが、患者からは引き止められている。
「『先生、私より先に死んじゃだめよ』とかね。皆さん僕に診てもらいたい気持ちが強いようです」
今年84歳。執筆のため、毎日4時間はパソコンへ向かう。日本人として初めてエルサレムを訪問したイエズス会司祭、ペトロ岐部(1587-1639年)の生涯を追う長編小説を執筆中だ。
「今の多くの日本人は、彼の強い生き方にびっくりするでしょう。かれこれ10年、1千枚近く書いていますが、完成はまだ先になりそうです」
夏の間はずっと軽井沢に滞在し、診察のある日だけ東京へ戻る。森に囲まれた山荘で、鳥の声を聞き、風を感じ、執筆に勤しむ夏が始まる。


- No.112(2012年10月) ステンドグラス工芸家 臼井 定一さん
- No.113(2012年11月) 作家 内田 康夫さん
- No.114(2012年12月) 『フィリピン医療を支える会』会長・歯科医 林 春二さん
- No.116(2013年2月) 画家 大山 美信 さん
- No.117(2013年3月) 軽井沢ホテルブレストンコート総料理長 浜田 統之 さん
- No.119(2013年5月) 日本シャーロック・ホームズクラブ関西支部代表 平賀 三郎 さん
- No.120(2013年6月) サイクリスト 上原 暢 さん
- No.121(2013年7月) 作家・精神科医 加賀 乙彦さん
- No.122(2013年8月) 外交評論家 磯村 尚徳さん
- No.123(2013年9月) 小説家・鷹匠 波多野 鷹さん
- No.124(2013年10月) 写真家 小谷 明さん
- No.125(2013年11月) 軽井沢図書館友の会会長 内山 章子さん
- No.126・127(2013年12月) アニメーター 冨永 潤二さん
- No.128(2014年2月) ソルトレイク五輪スノーボードハーフパイプ日本代表 橋本 通代さん
- No.129(2014年3月) ギタリスト 寺内タケシ さん
- No.130(2014年4月) 作家・ジャーナリスト 佐々木 俊尚さん
- No.131(2014年5月) テーラーメイド ゴルフ代表取締役会長兼社長 菱沼 信夫さん
- No.132(2014年6月) 株式会社バーディ代表取締役 石原 惠さん
- No.133(2014年7月) 小宮山洋子政策研究会代表 小宮山 洋子さん
- No.134(2014年8月) コラムニスト 勝谷誠彦さん
- No.135(2014年9月) さくら共同法律事務所所長 河合弘之さん
- No.136(2014年10月) オペラ歌手 藤井 多恵子さん
- No.137(2014年11月) 美術評論家 海上雅臣さん
- No.138・139(2014年12月) 環境ジャーナリスト 幸田 シャーミンさん
- No.140(2015年2月) 作家 久美沙織さん
- No.141(2015年3月) せせらぎ文庫 主宰 小林悠紀子さん
- No.142(2015年4月) アーティスト デビット・スタンリー・ヒューエットさん
- No.143(2015年5月) 日本エッセイストクラブ理事長 遠藤利男さん
- No.144(2015年6月) ガラス作家 佐藤万里子さん
- No.145(2015年7月) 女優 高田敏江さん
- No.146(2015年8月) 遠藤波津子グループ社長 遠藤彬さん
- No.147(2015年9月) 漫画家 みつはしちかこさん
- No.148(2015年10月) ソニー名誉会長大賀典雄夫人、ピアニスト 大賀緑さん
- No.149(2015年11月) 武蔵野大学教授 川村 匡由さん
- No.150・151(2015年12月) キルト作家 倉石泰子さん
- No.152(2016年2月) 軽井沢会評議員 英義道さん
- No.153(2016年3月) フィールド・マネジメント代表取締役 大雲 芳樹 さん
- No.154(2016年4月) デザイナー 西田 武生 さん
- No.155(2016年5月) 音楽家・抽象画家 マキ 奈尾美さん
- No.156(2016年7月) 脚本家 吉田紀子さん
- No.156(2016年6月) 画家 前田 利昌さん
- No.158(2016年8月)一般財団法人軽井沢会 軽井沢国際テニストーナメント委員長 金子 義明 さん
- No.159(2016年9月)作家 村山由香さん
- No.160(2016年10月)日本女子大学名誉教授 増淵 宗一 さん
- No.161(2016年11月)航空・宇宙技術士 升本喜就さん
- No.162/1631(2016年12月)建築家・東京芸術大学名誉教授 藤木 忠善 さん
- No.164(2017年2月)アマチュア・ピアニスト 村岡 清一 さん
- No.165(2017年3月)絵本作家 accototo(アッコトト) ふくだとしお さん あきこ さん
- No.166(2017年4月)東京都テニス協会常務理事 軽井沢会委員 太田 和彦 さん
- No.167(2017年5月)ハワイアン文化・フラ研究家 ジャズシンガー 井上真紀さん
- No.168(2017年6月)北京大学日本研究センター名誉教授 佐藤 敬治 さん
- No.169(2017年7月)近茶流宗家 柳原料理教室主宰 柳原 一成 さん
- No.170(2017年8月)西村伊作の第九子 西村九和さん
- No.171(2017年9月)明石康さん
- No.172(2017年10月)幸田弘子さん
- No.173(2017年11月)定成 クンゴ さん
- No.174/175(2017年12月号)元スピードスケート選手 三宮 恵利子 さん
- No.176(2018年2月)日本画家 林楷人 さん
- No.177(2018年3月)なおやマン(島﨑直也) さん
- No.178(2018年4月)長岡 はと美 さん
- No.179(2018年5月)平間 亮之介 さん
- No.180(2018年6月)青山裕次 さん
- No.181(2018年7月)橘かがり さん
- No.182(2018年8月)下重暁子 さん
- No.183(2018年9月)マッキー牧元 さん
- No.184(2018年10月)井口典夫 さん
- No.185(2018年11月)上原康恒さん
- No.186/187(2018年12月)垣内光子さん
- No.188(2019年2月)林幸千代さん