オカリナ奏者 ホンヤ ミカコ さん

1904_hitomonogatari.jpeg
 今年メジャーデビューから25周年。これまでにCD14枚、楽譜集7冊を発表している。

 21歳で初めてオカリナを手にした。ワーキングホリデーのビザを取りにオーストラリア大使館へ向かう途中、美しい音色のする方へ歩を進めると、広場でオカリナを吹く青年を見かけた。

「すっかりその音に惹かれまして、その日の帰りにぽっと入った楽器屋さんで、ぽっとオカリナを買いました。今は200本ほど持っていますが、ずっと吹き続けている最初の一本です」

 オーストラリアから帰国後、パントマイム専門の劇団「汎マイム工房」に入団。マイムの練習に励むかたわら、新宿駅西口でオカリナ演奏の路上ライブを週一回、2年間続けた。その演奏を聴いたレコード会社担当者から声がかかり、デビューが決まった。当時はマイムとオカリナを全く別のものとして捉えていたが、今は強い結びつきを感じている。

 「存在しないものを存在するようにみせるマイムは、役者が思いを強く持つことが大事。劇団では、演出家から自分の存在意義を問われ続ける日々でした。それが自分を深く掘り下げていくことに繋がり、曲作りにも大いに生かされています」

 昨年「ゼルダの伝説コンサート」にオーケストラのソリストとして出演。国内外でコンサートを開き、今夏は南米のペルー、ボリビアでも公演を予定している。

「言葉は通じなくても、音色一つでこんなにも会場と一体になれるんだといつも感動しますね」

 2015年、公演のため初めて訪れた群馬県嬬恋村の自然に魅了され、17年同村に移住した。

「自然の中を歩き回っていると、言葉を話す前の幼い頃の感覚がよみがえる気がします。その感覚に集中していくと、風の肌ざわりや自然の匂いと一緒に、メロディーが降って湧いてくることがあるんです」

 北海道帯広市出身。西日本放送(香川県)の番組企画で2001〜02年、四国八十八箇所の歩き遍路を体験。いつか日本全国をキャンピングカーでくまなく巡り、各地で公演したいという思いがある。

「ご高齢の方々にも気軽にお越しいただけるような、町内会単位のコンサートを思い描いています」

関連記事