【軽井沢人物語】しづの源氏語り 金盛 友子 さん

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原文の朗読と解説で、『源氏物語』の魅力を伝える

 平安装束を身にまとい、当時の慣習、お香、書などの文化を解説しながら、『源氏物語』の原文を朗読する。源氏語りは2011年の開始から今年で10年。国内外のべ6000人以上が耳を傾けた。

『源氏物語』を深く学ぶきっかけは、20歳のときの欧州旅行。ドイツ西部ケルン大聖堂で欧州の伝統に打ちのめされ、世界に誇れる日本の遺産は何か考えるように。やがて『源氏物語』に辿り着いた。

「1000年前の話なのに構想の雄大さ、繊細な心理描写が、他より群を抜いている。チャラ男の恋と栄華の物語だと思われているけど、親子関係、老い、死...人生のありとあらゆる問題がつまっているんです」

 『源氏物語』に一生関わりたいと、教師の道を選択。東洋英和女学院中高部、女子学院などで2019年まで教壇に上った。今でこそ、現代語訳からのアプローチを奨めることもあるが、生徒には原文の読解力強化を徹底した。

「世界へ出て行ったときに、古典を原文で読める引き出しは大きいと、とことん鍛えていました。今は厳しすぎたと、反省しているんです」

 3歳のときからほぼ毎年訪れている軽井沢は、パワースポットであり原点。毎朝散歩して、緑に触れていないと心地よく過ごせない体質なのも「軽井沢で過ごした日々があったから」。

 別荘は維持していく大変さもあって2年前、相続せずに母が手放した。更地になった跡を見ても、不思議と悲しさはなかった。

「自然は変わらずにあるし、数えきれない思い出も残っている。別荘を失っても、軽井沢が原点であることに違いはないと確信しました」

 屋敷から一度も出ずに、一生を終える平安貴族の女性たち。ステイホームが続いた昨年、彼女らの気持ちに少しだけ寄り添えた気がした。

「外に出られない人にとって、草木や植物に触れることが、何よりの慰めであり喜びだったと、実感として理解できたんです」

 源氏語りのときは、友家しづの名で活動。新型コロナのため、昨年延期した軽井沢大賀ホール公演(入場無料・HPから要事前予約)を8月3日に行う。日本古典文学の専門家による講演や、邦楽演奏も加えた三部仕立て。原文と英語訳で交互に語る、新たなチャレンジも行う。

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