【軽井沢人物語】丸山珈琲 代表取締役社長 丸山 健太郎 さん

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コーヒー屋のおにいちゃんから世界を駆け回る実業家へ

「日本一のコーヒー焙煎職人」を目指し1991年、軽井沢で丸山珈琲を創業。最初の10年は焙煎、抽出から接客、個人宅への配達まで、夏の繁忙期以外は1人で奔走した。

「まさにコーヒー屋のおにいちゃんという感じ。『がんばってるね』と声を掛けられるだけで嬉しかった」

 2000年代に入ると、日本でほとんど出回っていなかったスペシャルティーコーヒーを求め、産地を巡るように。<社長自ら買い付ける>というフレーズは、丸山珈琲を語るときの常套句だ。取引のある農園は200カ所以上。新型コロナのため、昨年から訪問できていないが、オンラインでやり取りを重ねている。

「20年の付き合いになる農園は、当時の赤ちゃんが、お父さんの手伝いをしています。何も言わなくても私の好みをわかってくれている」

 2006年からバリスタ(コーヒーを淹れる専門家)の育成に力を入れ、14年には世界チャンピオンを輩出。現在スタッフは175人。組織が大きくなっても、おいしいコーヒーを届けたい思いに変わりはない。

「ひとつの生き甲斐であり、人生の軸ですね。おいしいコーヒーとは何か、常に問い続けています」

 「withコロナ」で業務内容を見直し、昨年10月末に断腸の思いで3店舗を閉店。家庭で楽しめる質の高い商品の開発に力を入れ、通販事業にウエイトをシフト。大手サイトでも商品の取り扱いを始めた。

「不安定な時代に、店舗営業に重心を置くのはリスクと判断しました。今振り返ると、良かったと思います」

 創業から今年4月で30年。スペシャルティーコーヒーは、日本に輸入されるコーヒーの11%を占めるまでに。それでも伸びしろはまだあると上を見据える。

「アメリカのシェアは50%を超えています。深掘りして得た知見を、これからはもう少し分かりやすく、広く伝えていきたい」

 1968年生まれ。子どもの教育の関係もあり、8年前に生活の拠点を東京へ。軽井沢を離れて初めて、素晴らしさに気付くことも。

「緑が揺れて川が流れる環境とか、水や野菜のおいしさ...住んでいた頃は気にもしなかったけど、やはり東京から行くと最高ですね」

 車で来たら必ず、トランクいっぱいに野菜や果物をつめて帰るという。

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