【軽井沢人物語】音楽の仕事のかたわら、 本屋に立ち、街道を歩く
音楽プロデューサー
佐久間雅一 さん
音楽の仕事のかたわら、本屋に立ち、街道を歩く
父が合唱・オペラ指揮者だった影響で、幼い頃から音楽は身近な存在だった。小学生のとき、アメリカのテレビ番組の企画で結成されたバンド、ザ・モンキーズの音楽で洋楽に目覚め、高校・大学ではベーシストとしてバンド活動を行うのと平行し、マンドリンオーケストラにも所属。音楽漬けの毎日を送った。
「でも僕の周りには音楽的才能が豊かな人が沢山いて、自分が表舞台に出る幕はないなと思っていたんです。だけどやっぱり音楽が好きで、仕事にしたかった」
1980年にレコード会社東芝EMIに就職し宣伝部に所属。その後移ったレーベルFUNHOUSEで、念願だった制作ディレクターを任された。最初に担当したのは、敬愛する加山雄三さんだった。
「若大将シリーズは全て観ていましたし、初めてお会いするときは、泡を吹くほど緊張しました。一緒にアルバムを作って、次も声がかかったときはほっとしましたね」
99年に独立後は、レコード制作やアーティストのマネージメントなどに加え、映画音楽にも携わるように。韓国映画『MUSA-武士-』『殺人の追憶』や、昨年公開の邦画『帰ってきた あぶない刑事』などで、音楽スーパーバイザーとして劇中音楽のまとめ役を担った。2013年には舘ひろしさんのアルバムで、作編曲家の船山基紀さんと連名でレコード大賞企画賞を受賞している。
「独立して26年。周りの人に恵まれていました。会社勤務時代のつながりや経験が、その後も活きているとつくづく思います」
20年に横浜から軽井沢へ移住。妻のひろみさんが25年に開いた、「森の本屋 軽井沢」で週一回務める店番は「新しい出会いが何より楽しい」。
中山道を舞台にした浅田次郎さんの小説『一路』に感銘を受け、街道めぐりにのめり込む。この10年間で五街道を全て踏破。各地で街道を先導するガイドも務める。
「一日20kmぐらい歩くんですよ。足腰が鍛えられて仲間もできるので、一挙両得です」
1957年東京生まれ。来年は自身が企画・演出を務める朗読劇『松姫伝説』(出演:吉田栄作さん、秋本奈緒美さん)を開催。秋に公開予定の映画の仕事も準備に入っている。
撮影:大川直人




