【軽井沢新聞5月号】緑と景観を守れるか⁉環境タウン 軽井沢の危機(2)

条例違反は懲役や罰金も

 軽井沢の美しい自然と景観を後世に繋げるために、3月、土屋町長は「軽井沢町の自然環境と景観を守る宣言」を行った。実現に向けたロードマップで示された具体策の一つに、「軽井沢町の自然保護のための土地利用行為の手続き等に関する条例」の規制強化が挙げられている。

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 同条例では開発や建築など土地を使って何かを行う場合に、必要な手続きを取るように定められている(表①)。また違反した場合、現行では町が勧告し、改善がみられない場合は土地利用者の氏名を公表してきた。

 ロードマップでは、設計者や工事の施工者、工事管理者までその対象を広げ、懲役や罰金など罰則を科すことも検討。検察との協議等を経て施行を目指す。

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町との協議ない樹木の伐採は違反に

 近年問題になっている広範囲での樹木伐採も、同条例の対象となる場合がある。表ののように、300㎡以上の広さで木を伐採する場合、周辺土地所有者への説明や町との協議が必要だ。しかし、近隣への説明や町への届け出がないまま伐採が行われるケースが多発している。

 長倉の静かな別荘地に暮らすMさんは、近所にあった500坪ほどのヒノキ林がいつの間にか皆伐されている光景を目の当たりにした。「あっという間に伐られていました。町に確認したら、事前協議なく開発していたと知りました」と憤る。

追分の緑豊かなエリアに定住しているSさんの近隣でも、緑地に開発計画が持ち上がり、確認したら町へ無届で伐採が行われようとしていた。「これまで家は建たないとされていた場所さえ、土地の値段が上がり開発の対象となっている」と警戒する。

 罰則規定を設けることに対して評価する声も多く聞かれるが、条例の存在や内容を知らないまま開発を行う業者もあり、条例の周知が最優先だ。不動産仲介業者が同条例を重要事項として説明することも必要だろう。また身近に条例違反が疑われるケースを見かけたら、町へ確認するなど環境保全に対する住民の関心が不可欠だ。(文・広川美愛)

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