【軽井沢新聞10月号】保存修理工事を終えた旧三笠ホテル 約5年9カ月ぶりにオープン

(写真=10月1日の一般公開前に行われた記念式典。関係者らにがテープカットした。)
耐震補強を含む保存修理工事のため2020年から休館していた、重要文化財旧三笠ホテルで10月1日、約5年9カ月ぶりに一般公開が始まった。記念式典には80人ほどの関係者や来賓が参加し、テープカットで同ホテルの新たな幕開けを祝った。町長は「旧三笠ホテルが町の文化を担う拠点として、また地域のシンボルとして、町民を始め多くの方に末永く親しまれ、愛される施設になることを願っている」とあいさつした。
「軽井沢の鹿鳴館」と呼ばれた旧三笠ホテルは1905年建造の純西洋式木造ホテル。翌06年から営業を始め、経営者を変えながら70年にホテルの歴史に幕を閉じた。80年に町に寄贈され、83年から一般公開が始まった。劣化や破損が進み、地震による倒壊の恐れも指摘されていた。工事前の2019年は約7万人ほどの来館者があったという。
ホテル外観や内部の仕上げは、大正末期〜昭和初期の姿を復元。当時の資料や建物の痕跡から、施設正面中央と左翼の2カ所に車寄せを再現。破損があった漆喰壁を塗り直し、ロビーの腰壁に皮付き丸太を等間隔に縦に配置した。東側に施設と連結したエレベーター・トイレ棟と、別棟の消火ポンプ室を増築し、防災機能と利便性を向上させた。
以前は町の直営だったが、利活用拡大へ向け「日比谷花壇」(東京)を指定管理者に選定。ホテルで提供されていたレシピをもとに再現したカレーや、アップルパイなどの軽食を味わえるカフェ、約30種のオリジナルグッズを販売するミュージアムショップを新設した。結婚式の前撮りや会議、座談会などに使える貸室(事前予約制)も設置し、レトロドレスで撮影できる貸衣装サービスも行う。展示室ではホテル創業当時からの変遷を紹介。工事中に床下から見つかったリノリウムや、開業当時の屋根材なども公開している。
(写真=明治時代を感じさせる「貸衣装」は2時間2000円。)
総事業費は、物価高騰などの影響で予定の倍近くに増え約24億3600万円で、そのうち9億1280万円は国・県の補助金をあてた。
年間7万6千人の来場者を想定しているが、町長は「リニューアルで魅力はさらにアップし活用方法も広がっている。意気込みとしては10万人突破」と力を込めた。
開館時間は9:00〜17:00。入館料は一般1,000円、小中学生500円(町民は半額)。休館日は水曜(7/15〜10/31は無休)と年末年始。




