【軽井沢新聞11月号】民泊のクレームが増加 県に規制強化を要望へ
騒音、ゴミ放置、肌露出...
民泊による生活環境の悪化に対し、軽井沢町は民泊営業の規制強化を求める要望書を長野県へ提出する。土屋三千夫町長は阿部知事に直接要望書を手渡して実情を説明したいとし、日程調整していることを明らかにした。
町環境課によれば、騒音やバーベキューなどの臭い・ゴミ、屋外サウナでの過度な肌露出など民泊に対する苦情がゴールデンウィーク明けから急増したという。中には宿泊者による無断侵入や排泄行為、ゴミのポイ捨てなども発生。苦情を受けて町が管理先に連絡しても「駐在者がおらず、緊急時の対応ができない」「継続的に指導しても対応されない」など対応に苦労しているという。
民泊営業『0日』を目指す
町は2016年に「民泊施設(貸別荘を除く)は、町内全域において認めない」と方針を打ち出している。民泊施設を管轄する県の条例では、軽井沢町内で1〜4月と6月、10〜12月の土日(年間約80日)は民泊営業できることになっているが、町は民泊営業『0日』を認めるよう県に要望する予定だ。
これまで県は取材に対し「全域での『0日』規制は国のガイドラインでは不適切」との姿勢を示しているが、同ガイドラインでは、別荘地の繁忙期や、紅葉などで道路が混雑する時期に民泊を制限できる。近年は年間を通じて別荘を利用する人も多いことから、時期を問わず規制できる可能性がある。
無届けは懲役や罰金、逮捕のケースも
いわゆる民泊には、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく「民泊施設」と、旅館業法により住宅を利用した「簡易宿所」があり、いずれも許認可は県が行う。県のホームページでは、町内で民泊の届け出があった施設は14件だが、町によれば無届けの民泊もあるのではないかとし、実態は把握できていない。
無届けでの民泊営業は旅館業法違反となり、6ヶ月以下の懲役や100万円以下の罰金などが課せられ、京都市や東京都では逮捕者も出ている。軽井沢町内でも無届け営業の通報があり、警察から町へ知らされたケースも。より厳格な取り締まりには、警察との連携も不可欠だ。
簡易宿所は管理者を常駐 県へ条例化を要望
軽井沢町環境課によれば、追分や千ヶ滝などで民泊の苦情が増えている。恒常的にクレームが発生する施設は4件。2件が「民泊施設」で、2件が「簡易宿所」だ。
簡易宿所には民宿やペンションも含まれていることから、町は禁止をしていないが、旅館業法では、第一種低層住居専用地域(保養地)では営業出来ないことになっている。ただし第一種住居地域(住宅地)での営業は認められていて、従業員が駐在していない特定の施設では、夜間対応がないため騒音トラブルが発生している。
旧軽井沢のある別荘地では、隣接する住宅地で簡易宿所が営業を始めたことを受け、住環境の悪化を懸念した近隣の住民や別荘民らが反対の署名運動を行なっている。事業主の弁護士は軽井沢新聞社に対し「古い建物を活用したい。環境に配慮している」と説明したが、住民らの理解は得られていない状況だ。
町は自然保護対策要綱を改正し、来年から簡易宿所は管理者を常駐させるように規制するが、既存施設については3年の猶予が設けられている。旅館業法の許認可は県が行っているため、町は「従業員の駐在を義務化するよう旅館業法施行条例の改正」を要望していく。




