大雪に遭った人々を描いた6編

IMG_2411.JPG 「大雪物語」(講談社)1566円
 軽井沢在住の直木賞作家、藤田宜永さんが昨年11月に発表した小説『大雪物語』は、前例のない99cmの積雪があった長野県K町を舞台にした、6編の物語を収録している。軽井沢という地名は一切登場しないが、2014年2月の大雪被害に見舞われた軽井沢町がモデルなのは明らか。留守の別荘に逃げ込んだひったくり犯と近所に住む老女の交流、遺体搬送業者の運転手と母の遺体に付き添う女性の関係の変化など、大雪が降ったからこそ生まれた出会いや、深まった関係などが描かれている。災害救助法が適用されるほどの大雪に見舞われた3年前のあの日、誰と何を思いどう過ごしていたか、思い返しながら読んでみるのもいい。

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