軽井沢で生まれ育った3代目ベアドッグ 「レラ」と「エルフ」お仕事デビュー

2007_topics_beardog.JPG 井村さんとエルフ(左)、田中さんとレラ(右)。ハンドラーの命令にも忠実で、2頭は頼もしく成長していた。
 軽井沢町からの委託でツキノワグマ対策に携わるNPO法人「ピッキオ」の3代目ベアドッグ(クマ対策犬)2頭がこの夏、本格的に実務デビューしている。2頭はともにメスの「レラ」と「エルフ」。同法人の繁殖プロジェクトで2018年春に生まれ、同年6月のテストで適性が認められた。

 最初の1年は、人やクルマなどの人工物に慣れるための社会化訓練を続け、毛皮などを与え徐々にクマに興味を持つようにし、19年春以降は森へ出て、本物のクマの前でも萎縮しないよう訓練を積み重ねた。

 「レラ」は「タマ(レラとエルフの母)」のハンドラー(飼育兼訓練士)でもある田中純平さん、「エルフ」は新人の井村潤太さんがハンドラーを務める。これまでのハンドラー2人、ベアドッグ2頭の体制から、3人4頭体制になることについて、2つのプラス面を田中さんは挙げる。1つは、学習放獣のときなど、多くのベアドッグで威嚇できるため、クマにより強い恐怖心を与えられること。もう1つは、異なる場所で同時にクマの目撃情報が寄せられたときでも、すぐに駆けつけられること。「パワーを上げるのと同時に、労力を分散させられる」と田中さん。

 井村さんは16〜19年、ピッキオの契約社員として、クマ活動期の夜間巡回にあたったのち、19年12月に正社員として入社。エルフとは2月下旬から、生活をともにしている。井村さんは「観察力を身につけ、エルフとの信頼関係をより強くしたい。将来はクマと人、どちらの暮らしも守れるようなハンドラーを目指したい」。井村さんについて、田中さんは「犬への愛情をもって、根気づよくトレーニングしている。彼ならやってくれると期待している」と、先輩ハンドラーとして手厚くサポートしていく考えだ。

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